能登半島地震の被災地を訪問した岸田総理が、工房の被害や職人の流出などに悩む、この地の伝統工芸「輪島塗」の再建にむけて、補助金の増額や仮設工房の設置など、新たな支援策を明らかにしました。

被災者
「なるべく早く、商売してる人にも支援を届けてほしい。お願いします」

岸田総理
「わかりました、がんばりましょう。どうも貴重な声をありがとうございました」

岸田総理の被災地訪問は先月に続いて2回目です。今回の訪問のポイントは政府関係者によると、「被災者の生活・なりわいの再建」でした。

地震の発生から2か月近く。被災者の一番の望みはなんなのでしょう。

嶋崎政彦さん
「ぎんなんの実がついてる。イチョウですね」

輪島市に住む嶋崎政彦さん(64)は、この地の特産品、輪島塗一筋の蒔絵職人です。工房を兼ねる自宅は無事でしたが…

輪島塗・蒔絵職人 嶋崎政彦さん
「このホコリですね。細かいホコリが。『地塗り』といって、色を塗るんですけども、細かいごみがどんだけ掃除したんですけど、(空気中に)ごみがやっぱり動いている」

工房に漂うホコリが作業の大きな妨げです。

さらに大きな問題は、輪島塗のそれぞれの工程が分業制で、職人が一人でも欠けてしまうと完成には至らないことです。

輪島塗・蒔絵職人 嶋崎政彦さん
「やっぱり皆さんが帰ってきて、元気に漆屋さんが、がんばってくれると私たちの仕事が出てきて、(伝統の継続が)できるんじゃないかなと思ってるんですけども、(2次避難で)輪島から出て行って、戻ってこない人が多いかもしれませんからね」

先ほど岸田総理は…

岸田総理
「いち早く仕事を再開いただくために、仮設工房、これ整備いたします。4月中のオープンをめざします」

輪島塗の仮設工房の設置など、新たな施策を打ち出した岸田総理ですが、こうした政府の支援策が「生活となりわいを取り戻すこと」に本当につながるのか、被災者は冷静な目で総理の発言を受け止めています。