火がおさまり、空が明るくなってから川崎さんたちは自宅に戻ります。
川崎松雄さん:
やることない、何もないの。消すものがない(近所の人が)立って泣いていた。焼けちゃったっていう人がすぐ1つ通り隣のちょうど焼け跡から出しているところを眺めたときも嫌な感じがした。その家は2人か3人焼け死んだ。

この空襲で甲府市は市街地の74%が焦土と化し、死者1127人。被害があった建物は1万8094戸にものぼりました。
戦争への思い
大人になった川崎さんは水道設備の仕事のかたわら空襲の経験を話す機会がありましたが、興味が薄れていっていると感じ、およそ20年前からやめていました。しかし去年、久しぶりに子どもたちに体験談を語る機会があり、そのとき真剣に聞く子どもたちの姿を見て戦争の悲惨さを伝えようと再び体験談を話そうと決意したのです。

川崎松雄さん:
(戦争で)兵隊行けば死んじまうんだもの。きょうだいとかみんな戦争に行く人はどこもみんな亡くなっちまうでしょう。甲府の街があれだけ焼けちゃったとか、甲府ばかりじゃないにしても、焼夷弾どういうために落としたとか、そういう話をしたいと思う。