小嶋優キャスター:
山梨大学医学部附属病院前院長の武田正之さんに新型コロナの見通しなどを伺っていきます。
まずは県の新型コロナ対応を検証した報告書ですが、その中で医療体制の課題として主に挙げられていたのが、感染症対策の司令塔である山梨CDCの機能強化などとなってるのですが、この報告についてはどう受け止めていますか。

武田医師:
都道府県の中で過去3年間のコロナ対策を検証したのは山梨県が初めてで、その点で非常に高く評価されております。
ただ問題点がいくつかありまして、“CDC”という名前は疾病対策センターの略語なのですが、本当は感染症専門なのでちょっと違う名前の方が良いのかなと思います。
東京都は“ICDC”としています。そういう点も含めていくつか問題がありますので、この後どうするのか。

小嶋キャスター:
まずCDCの機能強化についてはどうでしょうか。

武田医師:
県感染症対策センターの企画立案等の人員を拡充すべきです。多分あまり人員が割かれていないのではないかと思います。それから早め早めの対応をして、その結果を政策にすぐ反映する必要があると思います。それが十分じゃなかったかなと思います。

小嶋キャスター:
その他にもまだありますね。

武田医師:
やはり数年後にまたパンデミックが来ることは十分想定されていますので、そのための計画を立てておく、準備する必要がありますし、専門会議で決めた正確な情報を早く発信する。そこは重要だと思います。

小嶋キャスター:
2番目に伺いたいのは感染症の専門人材の育成ということですが、どういうことが大切になっていますか。

武田医師:
山梨県は、実は感染症に関してちょっと弱いところがありまして、感染症学会の専門医の数が非常に少ないのです。それを増やす努力が必要だと思います。
そして専門医だけじゃなく実際に現場で働くのは看護師さん、薬剤師さん等を含めた医療従事者で、感染症学会の講習をきちんと受けた専門的な知識と技術を持った方を育てる。それをどんどんやっていく必要がありますし、恒常的にやる必要があります。

西垣キャスター:
感染者数をご説明いただきたいと思います。現在の状況を含めて今後の見通しをお願いします。

武田医師:
今おそらく底。60数人ってことで、おそらく大体ピークから2ヶ月近く経って底にあると思います。おそらく今までのパターンでいくと3月初旬に一番低くなって、次の第9波になる可能性は多分あると思います。
良いパターンはあまり山が大きくなくて、5月の初めには下がってくる。
悪いパターンはそのまま増加していくと、この二つが予測されます。
一番困るのは、(現在の2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられる)5月8日のコロナ分類の変更の時期にどうなっているかです。
それから5月からは高齢者へのワクチン接種が始まりますので、その段階でまた違う動きが出てくる可能性はあります。

小嶋キャスター:武田さんでした。ありがとうございました。