山形県の気になる話題を深く掘り下げる「ユウキノフカボリ」のコーナー。今日のテーマこちらです。

―OECDが見た山形

昨日まで県内で調査を行っていました。OECDどんな機関なのか見てみたいと思います。

OECDは本部がフランス・パリにある国際機関です。世界38カ国が加盟しています。目的はご覧の3つなんですね。
つまり、経済全般について分析や検討を行って、世界経済を底上げするための活動をしているのがOECDということになります。

OECDの山形県内調査は10日から昨日にかけて行われました。
目的が農村地域の経済の発展そして都市部との格差是正の手法を調査するということだったんですね。

この調査は日本だけじゃなくて5カ国で実施されました。日本では山形県が唯一の調査対象だったんですね。
山形のどんなところに注目したのか、こちらをご覧ください。


OECDの調査団は、山形県内に3日間滞在し、農村部の取り組みを中心に調査しました。
りんご・無袋ふじの技術を生み出した朝日町では、こんな質問が。

OECD(経済協力開発機構)・エンリケ・ガルシラソさん
「無袋ふじは1人がはじめたのかグループがはじめたのか、大学など研究機関との共同だったのか過程について教えてほしい」

さらに、ヨーロッパの複数のブランド家具を生産する「OEM生産」で
高い評価を得ている家具メーカー・朝日相扶では。

OECD(経済協力開発機構)・エンリケ・ガルシラソさん
「135人の従業員は地元の人を雇用しているのか」
「トレーニングは自社で?」

調査は、技術をどう生み出したか、どう継承しているかが中心です。

農村づくりについて講演活動などを行い、調査に同行していた高橋信博(のぶひろ)さんは、OECDが県内に注目した理由について。

県農村づくりプロデューサー・高橋信博さん
「なかなか地域は動かないし動けない地域の人がどういう形で本気で動こうとしていくか (公的に)どう支援するかの仕掛けをみたいのだと思う」

つまり、山形県が選ばれた理由というのは、地域資源に高い付加価値をつけるという動きがあるということ。そして人材育成の取り組みもうまくいっているということ。
ここが注目されたんじゃないかということだったんですね。

我々の取材にいきました朝日町、これについて言いますと、りんご・無袋ふじは、そもそもお1人の方が発案したんですが、今では技術が確立され市場で高い評価を得て「サンふじ」として実は全国にその技術が広まっているんですよね。
そして、朝日相扶はといいますと、出稼ぎ解消を目的に創業されて、全員地元の方を雇用しています。そして、技術は自社で継承して今や世界的に評価を得ているという。

こういったうまくいった事例があるわけですよね。

では、こういったところを調査して、OECDにとって国際的に何かヒントを得たのか、インタビューしてきました。

OECD(経済協力開発機構)・エンリケ・ガルシラソさん
「この町で見たのは伝統的な製品を発展させ世界に発信できるということ。
そこから発展につながる独自性は何かを考える。これからの時代に必要なヒントが浮かび上がってきたように思う」

ということで、OECDは手応えを感じているようなんですね。

良いところを見ていただいて評価をいただいたのはいいんですが、私はあえて、関係者の方を通じて昨日、調査が終わった段階で聞いてみました。

「国際的な立場から逆に山形の課題を感じませんでしたか?」ということなんですね。
そしたらOECDのエンリケさん、答えませんでした。

なぜかといいますと、関係者の方曰く「今調査中なんで立場上言えないのだろう」ということだったんですね。これは致し方ないかもしれません。

OECDの調査は今回、県内のこの5つの市町村で実施されました。
今後なんですけれども、夏ごろをめどに各国の取り組みをまとめて政策に生かせるような提言として発信することになっているそうです。
ですから、山形のいいところは世界中に発信されることになるわけなんですね。
これは非常に良かったと私も思います。
でも山形もきっと課題はあるはずなんですよね。ですから、国や県に私の方からも一つ提言というかお願いがございます。
このOECDの提言を受けて、山形の今後に生かす分析もしてほしいんですよね。
いいとこだけを今回アピールできたって喜ぶんじゃなくて、やはり山形を今後より良くするためには何が必要なのかということも、逆にOECDに聞くぐらいのつもりでいかしていただきたいなというふうに思いました。
きっと今回の調査が、うまく前に進むためには、そういった関係も必要だと思う。
ぜひそこに今後注目していきたいと思います。

以上フカボリでした。