山形県の優れた技術や技法、職人を紹介する、「令和の匠(たくみ)」のコーナーです。2022年は、あかり、刀、木工、紬、黒柿工芸と、5つのジャンルの匠を紹介しました。まずは、匠の技を振り返っていきましょう!

“光と影を操る”匠

2022年1月、米沢市で出会ったのは、あかりを操る「匠」、林久雄(はやし・ひさお)さんです。

こちらが、林さんの作品。木のあかり。

林久雄さん
「皮1枚を残す。浅すぎても折れるし深すぎても切れる」

あかりには、薄い板を組み合わせる、組子の技術が使われているんです。そして、出来上がったのが・・・、まさに光と影を操る、匠の技でした!

“半世紀以上も前から伝わる”成形合板の技

暗闇から舞い降りた一匹の蝶。
天童木工の代名詞、バタフライスツールです。この曲線美を生み出しているのが、天童木工に、半世紀以上も前から伝わる技、成形合板です。

かかる圧力は、車1台分の重さに匹敵するとも!

この匠の技にほれ込んだのが、沖縄出身の石橋さん。技術に磨きをかけ、2年連続、技能五輪で金賞に輝いています。

“全てが希少”県の無形文化財

こちらは、白鷹町に伝わる「ぶっかけ染め」です。

小松織物工房6代目・小松寛幸さん
「先人たちがやってきた中で、最先端の技術」

1時間以上、この作業を繰り返す技なんですが、何を作っているか分かりますか?

重ねた板を外すと、1本の糸が2色に染まった「絣糸」が出来上がります。

この糸を使って出来るのが、白鷹紬。

これに関わる技全てが希少で、県の無形文化財に指定されています。

山形県内“唯一”の刀の匠

県内唯一の刀職人・上林恒平さん。

10月、鶴岡市で貴重な実演を行いました。こちら、刀に名前を刻む銘切(めいきり)という技です。

上林さんは、金属の表面に彫刻を施す「彫金」を得意としていて、非常に繊細な技なんです。匠の技を間近で見て、皆さんどうでしたか?


訪れた人
「すごく細かくてびっくりしました」


“木の記憶を残す”―黒柿職人

こちら「黒柿」の作品です。黒柿とは、樹齢150年を超えて黒い模様が現れた「柿の木」です。

木にその模様が出るのは、1万本に1本と言われていて、とても貴重なものなんですよ。

これを作っているのが、木工芸の匠、吉田さん親子です。

黒柿の工芸には、指物(さしもの)、挽物(ひきもの)、刳物(くりもの)の3つの技が詰まっています。


吉田さん親子は、定期的に作品展を開催し、黒柿の魅力を伝えています。

訪れた人
「素晴らしいものを作っているなと。山形でも作家がいるとは知らなかった」