福島第一原発の処理水を海に放出する計画をめぐり、国際原子力機関=IAEAのグロッシ事務局長が岸田総理に報告書を手渡しました。これを受け、岸田総理は「誠実に対応したい」と話しました。
4日の福島第一原発。海側にはきょうもクレーンや重機が集まっていました。処理水の放出に向けて設備の準備は整い、原子力規制委員会は5日、最終的な検査の結果を公表する見通しです。
こうした中、午後4時すぎに岸田総理とIAEAのグロッシ事務局長との面会が始まりました。
岸田総理「報告の内容をお聞かせいただいた上で、わが国として誠実に対応していきたい」
グロッシ事務局長「今日重要なマイルストーンを迎えていると考えている」
グロッシ氏は、政府と東京電力が、今年夏までに計画している処理水の海洋放出について、「国際的な安全基準に合致する」という評価を盛り込んだ包括的な報告書を手渡しました。会談でグロッシ氏は、報告書について「科学的・中立的なもの」と強調。「日本が次のステージに進むために必要な要素がすべて盛り込まれている」と話しました。
岸田総理との会談に先立ち、グロッシ氏は、林外務大臣と会談。また、西村経済産業大臣とも、先ほど会談し、報告書について、意見交換しました。
一方、海洋放出をめぐり、2日に「海水浴シーズンは避けるべき」と発言した公明党の山口代表は、4日、次のように釈明しました。
公明党・山口那津男代表「客観的にこの安全性を周知していくということが大事であり、(安全性の周知には)少し時間が不足しているのではないかという趣旨で申し上げました」
岸田総理との会談後、グロッシ氏は、日本記者クラブでの会見に臨みました。
グロッシ事務局長「岸田総理に包括報告書を手渡せて満足している」
グロッシ氏は、政府が処理水の放出計画を進めた場合、IAEAが継続して監視していく考えも示しました。
グロッシ氏は5日、漁業者などとの意見交換会に出席した後、福島第一原発を視察する予定です。報告書を受け、政府は、放出の時期について、具体的な検討に入りますが、福島県の内外で反対の意見や懸念は残ったままです。