判決の概要「殺害の意欲は認められない」
【事件の動機】
刑務所から出所間もない被告が、新しい人間関係や未経験の解体土木作業への漠然とした不安から、長く刑務所に入っていたいと考えて犯行に及んでいて、身勝手かつ自己中心的だが、不特定の人を殺害すること自体を目的とした無差別殺人の犯行や、利益を得ようとした事案とは異なる。
【事件の計画性】
被告は具体的な犯行の場所などを想定しておらず、計画性は犯行の直前に考えられたに過ぎない、場当たり的で稚拙な面がある。
【殺意】
長く刑務所に入るという目的が達成できればよかったのであって、他人を殺害するために計画を立てたわけではない。殺意はあるものの、殺害の意欲までは認められない。生命軽視の度合いは甚だしいとはいえるものの、顕著であったとまでは言い難い。