福島県白河市にある白河実業高校の建築部。明るい光が差し込む木造の実習棟で、生徒たちは建築の知識を深めながら、モノづくりの楽しさを追求しています。
そんな彼らの活動を覗いてみました。
「自分の思い描いたものが形になる喜び」―建築部で広がる可能性
白河実業高校の建築部は現在14人が所属しています。そのほとんどが建築科の生徒で、物づくりへの関心を持つ生徒たちが、授業の延長として楽しみながら活動しています。
最新技術と伝統技術が融合する実習空間
建築部の活動内容は多岐にわたります。模型の作成や設計競技への参加などが中心で、現在は2班に分かれて別々の活動を進めています。
こちらの班は、CADという設計ソフトを使いながら、必要なパーツの設計を行っています。画面上で細かな寸法を指定し、データを出力すると、そのデータが3Dプリンターへと送られます。

3Dプリンターからは、あっという間に窓枠部分が完成します。そして様々なパーツを組み合わせながら、模型を少しずつ丁寧に組み立てていきます。

歴史を紡ぐ、五重塔の修復プロジェクト
もう一方の班は、少し異なる作業に取り組んでいます。
浦さん
「塙工業高校と白河実業高校が合併した時に、塙工業高校の方から五重の塔が見つかったってことで、建築部の方で修正しようということで、今全員でこうやってる状況ですね。」
一昨年、合併前の塙工業高校で作成されていたとされる木製の五重の塔。その修復活動を行っているのです。修復内容は、屋根の補修作業や各所の塗装作業など、繊細な作業ばかりです。
まるで職人のような丁寧な手つきで、歴史ある建築物の修復に取り組む姿が印象的です。

学科を超えて広がる可能性
建築部のメンバーの中には、建築科ではない生徒も参加しています。
それは電気科の生徒でした。
なぜ建築部に入ったのか尋ねてみました。
鈴木さん
「電気のやつで電気屋さんに就職しても設計とかがあるんですよ。そういうの学べるのは電気科じゃ学べないのかな。ちょっとでも進路に影響できるのがここかなって思って選びました。」
専門分野の垣根を超えて知識を広げることで、自身の将来にも活かせるという考えが素晴らしいですね。
モノづくりの喜び
授業ではなく部活動として作業することの意義。
それは、共に活動する仲間との絆を深めながら、自分の手で何かを作り上げる喜びを味わうこと。そして、みんなで一つのものを完成させた時に感じられる達成感なのでしょう。

白河実業高校の建築部は、モノづくりの楽しさと奥深さを体感できる場所として、これからも生徒たちの創造力と技術を育んでいきます。