前代未聞の不正が明らかになった福島県の「いわき信用組合」。
不正融資は2004年・20年あまり前から行われていたとみられ、その額はあわせて少なくともおよそ247億7000万円あまり、件数にして1293件にのぼるとみられています。

去年11月におよそ10億円の不正融資が明らかになり、設置された弁護士と公認会計士からなる第三者委員会は30日午後、会見を開き調査結果を明らかにしました。
第三者委員会によりますと、いわき信用組合は2004年から大口の融資先の資金繰りを支えるため、実態のない企業ペーパーカンパニーを通じた迂回融資をはじめたとみられ、ほかにも広がったとみられています。
不正融資は東日本大震災の前が多いものの、震災を受けて公的資金の注入後もあったとしています。

一方、一般の顧客の名義で無断で口座をつくる行為は2007年から行われていました。
無断でつくられた一般の顧客名義の口座は260件にのぼるとみられています。
調査では、流失した金額は21億円から23億円になるとみられ、多額の使途不明金の存在も明らかになりました。

【第三者委・新妻委員長】
「使途不明金8億円から10億円あるとみられる」

さらに2010年と2014年、当時支店に勤務していた同一の職員が行った2億円近い横領事件も隠ぺいしたとされています。

不正が長年続いた背景について第三者委員会は、コンプライアンス意識の根本的な欠如、常軌を逸した上意下達の組織風土そして内部の統制、監督の機能不全などを指摘しています。
報告書では経営のトップとして理事長や会長を去年まで20年間つとめていた江尻次郎氏をはじめ、歴代の役員の責任を指摘しています。

【第三者委・金田康裕弁護士】
「特定の人物が人事権を掌握パワハラ等による組織風土があった」

一連の問題を受けて東北財務局は29日、いわき信用組合に対し業務改善命令を出し、経営管理体制や法令順守の態勢強化に加え、経営責任を明確化するよう求めています。

【いわき信組・本多洋八理事長】
「多大なるご心お配をおかけしていることをここで深く詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ございません」

またいわき信用組合も会見を開き、本多洋八理事長の退任を含め、現在の経営陣を大幅に入れ替え、上部団体の全国信用組合連合会から役員を迎え、さらに外部からも人材を入れ、経営管理体制の刷新を図るとしています。