筋トレと震災時に見た光景

一歩間違えれば自身の命も落とす行為。髙橋さんの勇気を支えたのは、週6回行っているという「筋トレ」だった。10年以上前から週6回、毎回1~2時間欠かさず続けているという。ジムには行かず自宅でひたすらダンベルやバーベルを持ち上げていると髙橋さんは語る。

筋トレを始めたのは2011年。東日本大震災が起きた年だ。髙橋さんの実家は沿岸部の宮城県南三陸町にある。当時は30キロほど南にある石巻市にいた。仕事を終え実家に戻る道中、強烈な揺れに見舞われた。避難誘導していた警察官に促され、安全な町内の観光ホテルに逃げ込んだ。

様子を確認しようと外に出たところ、津波が押し寄せる集落を目の当たりにした。同じく惨状を見ていたのが警察官だった。その姿を髙橋さんはずっと忘れられなかった。