静岡県内で起きた2021年暮れ、緊急走行中の救急車がほかの車からあおられたことがニュースになりましたが、なぜ、救急車はあおられたのか、そこにはゆっくり走らなければいけない理由がありました。

対向車の人は
「なになになに!?」

サイレンを鳴らしているのは、緊急走行中の救急車です。

白い車が救急車をあおるような動きを見せます。あわや、対向車ともぶつかりそうになりました。

救急の現場では、こうしたヒヤッとする行為が少なからずあるようです。

対向車の人は
「ぶつかるかと思った」


「緊急走行中の救急車が遅くてイライラ…そんな経験はありませんか?」静岡県内の消防本部がSNSに投稿した動画です。これが話題を呼びました。ゆっくり走る救急車への理解を求める内容です。

動画を作った袋井消防署員
「僕たちは傷病者をちょっとでも安全に少しでも苦しみを取り除いて病院に搬送することが一番大切」

では、なぜ、救急車は緊急走行であってもゆっくり走るのでしょうか。

浜松市消防局 中消防署 鈴木崇博救命士
「こちらが、傷病者の方に乗ってもらうスペースです」

走行スピードは一般車より、少し遅いくらいです。

寺田亘輝記者
「段差や、でこぼこな道は多少揺れる。そういうときは速度を落として揺れが少なくなるようにしている」

救命活動に必要な多くの機材を積んでいることなどから、一般の車よりも揺れることがあります。

浜松市消防局 中消防署 鈴木崇博救命士
「心肺停止の場合、胸骨圧迫を行ったり、人工呼吸を行ったり、強心剤のアドレナリンを投与したりする」

走行中も生死を分ける救命措置にあたることもあり、道路の段差や周りの車に注意しながら慎重な運転をします。

浜松市消防局 中消防署 鈴木崇博救命士
「早く届ける、病院に搬送することも大切だが、それよりも今は、確実に搬送することが大事になっている」

緊急走行の様子を車載カメラで撮影しました。

赤信号で交差点に進入する時は細心の注意を払って進みます。しかし、救急車が大通りに出ようとした時、車が1台横切りました。

交差点では、救急車が右折しようとしますが、対向車はなかなか止まりません。最近の車は遮音性が高く、サイレンに気が付かない傾向があるといいます。

浜松市消防局 中消防署 鈴木崇博救命士
「交通量の多い交差点や、雨や風が強い日の緊急走行は、特に注意を払っています」

すべてのドライバーが救急車の役割を理解し、ルールを守り、協力することがあらためて求められています。