高齢化が進む中、浜松市の山あいに住む買い物難民のおばあちゃんたちがスマートフォンを操り、リモートショッピングを楽しんでいます。豊かで住みやすい地域を守ろうとNPO法人やスーパーマーケットが支援しています。
<リモートショッピングの様子>「甘夏どれか一袋入れといて」「ちょっと器量悪くても、おいしいのはこれだと思う」「いいね。それいくら」「6個入って280円」「安いじゃん、もう一袋入れて」
スマートフォンのテレビ電話のアプリを使い、リモートショッピングを楽しんでいるのは浜松市天竜区水窪町の門桁地区に住むおばあちゃんたちです。水窪町の中心部から車で40分。およそ20世帯の小さな集落で、住民のほとんどが70歳以上です。店は1軒もありません。リモートショッピングを支援しているNPO法人の理事長、平澤文江さんです。平澤さんたちは2016年から、門桁地区で移動販売をしていました。週1回、手数料は取らず、余った商品はすべて買い取っていました。市からの補助金もありましたが採算が合わず、4年間で断念しました。
<平澤文江さん>「単純に資金が底をつきました。それだけではなくて、NPOの活動として他にもやってる活動がある訳ですよ。そこにばっかりエネルギーを注ぐわけには行かないということが出てきて、何とか考えないといけない」
そこで思いついたのがスマートフォンを使ったリモートショッピングです。NPO法人の手間は、車で運ぶだけ。移動販売をやめる1年前からスマートフォンの使い方教室を始めました。
<リモートショッピングの様子>「(電話呼び出し音)もしもし。よろしくお願いします」
そして、2020年4月からリモートショッピングがスタートしました。当初は、スマホを使えるか半信半疑でしたが、今では手伝いなしで出来るようになりました。水窪町の中心部にあるスーパーまきうちです。刺身が自慢で、町の外からも買い物客が訪れます。
<スーパーまきうち 牧内基社長>「きょうのおすすめは時期がいいもんでカツオだな。みんな好きじゃんカツオ(そうだよね。カツオ一つ下さい)」「(丸い棒でコーヒーのじゃりじゃりとしたような)丸い棒でコーヒーのじゃりじゃりっとしたような、クイズだね」「あと誰かいる?(終わりです)わかりました。ありがとうございます。終わった。(どのくらいかかったですか)やっぱり1時間かかりますね」
この日は6人が買い物を楽しみました。
<スーパーまきうち 牧内基社長>「スマホ越しに顔がちらっと見えるので、楽しんでいる喜んでいる顔が見えると、やっぱり面白いです」
買った商品をNPO法人のスタッフが車に積み込み、店を出発します。峠を一つ越え、およそ40分で門桁地区に到着です。
<NPO法人のスタッフ>「5733円です」
NPO法人のスタッフがお金を預かり、スーパーに支払います。
<門桁地区の住民>「向こうで買ってバスでもって来てもなかなかね。持ちに歩くのが大変です」
<平澤文江さん>「歳をとっても楽しみながら、不便もスマホで補いながら長く長く、希望する限り水窪に住めるような、そういう環境を作りたいなーと思って今後もやっていきたいと思う」
おばあちゃんたちも店の人も楽しそうでしたね。リモートショッピングが楽しくてついつい余分に買ってしまうこともあるそうです。買い物はもちろんスマートフォンでつながっていることで高齢者を見守る新しい形にもなりそうです。