2022年10月、静岡県小山町の「ふじあざみライン」で観光バスが横転し、29人が死傷した事故。このバスを運転していた男の初公判が6月28日開かれ、被告の男は起訴内容を認めました。あの事故から半年以上が経過しましたが、いまでもツアー会社などは対策に追われています。
女性客1人が死亡、28人が重軽傷を負うという重大な結果をもたらした観光バスの横転事故。各方面に影響を与えました。
事故のあった「ふじあざみライン」を登った先、富士山の須走口五合目は外国人ツアー客で賑わっていました。この場所では2022年、事故が起きた後、バスツアーを中心に一時、観光客が激減。ここにきてようやく、客足が戻りつつあります。
事故のあった現場を確認すると、いまもポールが倒れたままで事故の痕跡が残っています。事故の後、道路沿いには様々な標識が設置されましたが、道路そのものを大きく変えることは難しく、ドライバーの力量が問われることに変わりはありません。
一方、観光業者はいまも対応に追われています。
<さわやかツアー 松本博社長>
「運転手の表情や万が一何かあった時、運転手がどういう状態なのか分かるようにもう一個、運転手の顔だけを写す(カメラをつけた)」
静岡市の「さわやかツアー」では、バスの横転事故を受けて、ツアー出発前後の安全確認を強化しました。さらに、ドライブレコーダーに免許証をかざして、運転手を認識するシステムを導入しました。
<さわやかツアー 松本博社長>
「自分がこの車を運転している。ここにかざすことによって、責任は自分にあるんだという、使命感や責任感が生まれると思う」
安全なツアー実施のために、行程の組み方も以前とは様変わりしていると話します。
<さわやかツアー 松本博社長>
「朝早く出るのをやめました。朝早く出て、眠たいまま行くというのは危険ですので、余裕をもって午前8~9時に出て、午後5時に帰ってくるという、ものすごくスモールになってしまったが、そういったツアーに変わってきている」
いまだに影響を及ぼしている富士山での観光バス横転事故。安全な観光を目指すためには何が必要なのか。関係者の模索は続いています。