リニア工事をめぐる国の有識者会議で、JR東海が計画する発生土置き場について、静岡県が盛り土条例を理由に認めない姿勢を改めて示しました。JR東海は盛り土条例について「リニア以外の工事でも事業者が共通して困る制度」だと述べました。

リニア工事中や工事後の南アルプスの環境保全をテーマとした国交省の有識者会議は7回目を迎え、前回整理された論点について具体的な議論が交わされました。そのうち、発生土置き場の問題をめぐっては、JR東海が計画する「藤島沢」の実現性について、専門家から質問が相次ぎました。

JR東海は、トンネル工事による発生土370万立方mのうち、10万立方mを工事現場の下流にある「藤島沢」に盛り土することを計画しています。しかし、自然由来の有害物質が含まれる盛土のため、2022年に施行された静岡県の盛り土条例に抵触します。

JR東海は、例外的に盛り土を可能とする「適用除外」となることを求めていますが、森貴志副知事は2月14日、藤島沢は工事現場から離れているので条件を満たさず、適用除外にはあたらない、と計画を認めない姿勢を改めて示しました。

<JR東海 宇野護副社長>
「(リニア)以外にも、色々な公共工事の中でトンネル工事をすることがあると思うが、そうした事業者さんが共通してお困りになる制度だと思う」

JR東海の宇野護副社長は、盛り土条例についてこう述べ、「公共工事については考え方を変更してもらいたい」と静岡県への要請を続ける意向を示しました。