2021年7月に発生した静岡県熱海市の土石流災害で、起点にあった盛り土の造成をめぐり、当時対応に当たった熱海市職員へのヒアリング結果が4月26日、公開されました。

熱海市が報告書で訴えたのは、盛り土の造成業者の悪質性と静岡県に対する不満です。

<斉藤 栄 熱海市長>
「その時点で使える条例、または規制、制約の中で最大限努力したと考えている」

盛り土造成当時の熱海市の対応に不備はなかったという姿勢を貫く斉藤市長。27人が死亡、1人が行方不明となっている熱海市の土石流災害では、起点にあった盛り土が崩れ、土石流の被害が甚大化したとみられ、静岡県や熱海市が盛り土造成の経緯を調査しています。

26日、熱海市が明らかにしたのは盛り土が造られた当時、対応に当たっていた熱海市の職員やOB、あわせて17人の証言です。

「指導をしてもはぐらかす」
「改善のそぶりを見せ、命令を回避する悪質性があった」

報告書では、盛り土造成業者が行政の指示を巧みにかわした事が記されています。中には、市の職員に対して、声を荒げるような場面もあったとの記述もあります。どうすれば違法とみられる盛り土の造成を止められたのか。

<斉藤 栄 熱海市長>
「土採取等規制条例のみならず法令規制がしっかりしてなかった」

熱海市は報告書で、違法な盛り土を造らせないように、唯一適用できたのは、土採取等規制条例だったとした上で、この条例は提出するだけの届け出制で、罰金も20万円と弱い規制だったと主張しています。

その熱海市が当時、期待したのが静岡県が管轄する森林法の適用です。これは厳しい基準の許可制で、違反があれば、スピーディーに工事を止めることが可能ですが、静岡県はこの法律を適用する基準に達していないとして、引き続き、熱海市に条例で対応するよう求めたとしています。

百条委員会の場で熱海市の元職員もこう証言しています。

<熱海市 元職員>
「静岡県には積極的に関与してもらえなかった。熱海市は限られた権限、様々な制約がある中で、なんとかできないか、頭を悩ませながら精一杯対応した」

静岡県が積極的に関与していれば、今回の土石流は防げたのか。県の難波副知事は、調査は途中としながらも、一貫してこのように主張しています。

<難波喬司 副知事>
「積極的に対応しなかったというのは感想であって、事実かどうかはわかりませんのでこの問題は、どちらかがやってくれなかったという問題ではないと思う」