静岡県浜松市にある視覚障害者施設が点字の印刷物を手作りではがきにリサイクルしています。施設利用者は社会の一員として働ける喜びをかみしめています。

<視覚障害者支援施設に通う 金原弘明さん>
「僕が存在する意味を与えてくれている。僕がここに通っていなかったら仕事がなかっただろうし楽しいです。毎日」

目に障害がある男性です。浜松市中区にある支援施設「ウイズ蜆塚」に通っています。「ウイズ」では、浜松市が出している広報誌の点字印刷する作業を請け負っています。

この点字の広報誌をリサイクルしてできたのが、こちらのはがき。リサイクルはがきづくりは、SDGs17の項目の12番「つくる責任、使う責任」に当てはまります。

作業はすべて、施設に通う人たちの手で行われています。ベテランの鎌倉洋子さんもはがきづくりをする一人です。鎌倉さんは、一番難しい作業の一つ「紙すき」を任されています。

<鎌倉洋子さん>
「9、10杯入れて、余分な水を抜きます」
「ありがとうございます。職人でございます。な~んて馬鹿な事言っちゃって」

自宅の外に出て仕事をすること、私たちには当たり前のことが鎌倉さんにとっては人生最高の喜びだといいます。

<ウイズ蜆塚 鈴木明日美さん>
「ハーブを入れてるんですけど、ウイズ蜆塚の庭で採れたハーブを混ぜています。施設利用者さんも香りは感じられますので」

ハーブのほかにも、静岡ならではのお茶やミカンの香りもあります。

<清水英之記者>
「ハーブの香りがついているはがきです。ほのかなローズマリーの良い香りがします」

目が不自由な人にも、はがきの存在を感じてもらえるはがきです。

鎌倉さんたちが丹精込めて作ったはがきは、浜松市役所にある売店で手に入れることができます。売り上げの一部は、鎌倉さんたちの給料になります。

<鎌倉洋子さん>
「とても楽しいですよ。2022年10月で83歳になるけれども、前の79年はおまけ。80歳から4年楽しいことがギュッと詰まってる。(施設では)『なんでも言いなさい』『なんでもしなさい』だから楽しいの」

障害がある人も、楽しく元気に生き生きと人生を送りたいと思う気持ちは一緒です。SDGsの基本理念「誰一人取り残さない」施設が浜松にありました。

4月21日放送