カキの養殖量全国トップの広島県で発生した「歴史的不漁」。異変は浜名湖でも起きていました。一部のカキが死んでしまった原因に生産者は厳しい夏の暑さが影響した可能性があるとしています。

多くの人に愛されるカキ。

浜名湖の近くに店を構えるカキ小屋「舞阪マルマ幸福丸」では、全国の産地から旬のカキを取り寄せ、一年中味わうことができます。

舞阪マルマ幸福丸 藤田悠斗店長
「なるべく大きいのと、サイズ感と中身を見て判断して仕入れています。北海道のはクリーミーな感じ、岩手産はあっさりしている感じ」

この日、店に並んでいたのは、北海道産と岩手産のカキ。この時期であれば、例年扱うことが多いという広島産のカキはありませんでした。

藤田店長
「(広島産は)今年は1回も見ていない」

養殖カキの生産量日本一の広島県では2025年、カキが大量に死んでしまい、歴史的な不漁に見舞われています。

広島のカキ養殖業者
「死んだカキの量が半端じゃない。ここまで死んだのは初めて」

海水温の上昇と、雨の少なさにより塩分濃度が高まったことが原因とみられています。被害の大きかった養殖業者では、9割近くのカキが死んでしまったといいます。

静岡県内のカキの産地、浜名湖です。舞阪町の養かき組合では今シーズンの出荷が11月上旬から始まりましたが、この場所でも一部で異変が起きているといいます。

舞阪町養かき組合 八木田昇一組合長
「カキを弱らせてしまうプランクトンが、一部の海域で発生してしまったり、夏の高水温で生育が遅れていたり、全体的には3割ぐらいがへい死してしまったりとか」

舞阪町養かき組合によりますと、海水温の上昇などにより、浜名湖の一部でカキの成長を妨げるプランクトンが発生。ひどい場所では、3分の1ほどのカキが死んでしまったほか、成長の遅れもみられるといいます。

八木田組合長
「(浜名湖内でも)ある場所では小さい、ある場所では順調に育っている。なので全体的に見たらいいところもあれば悪いところもある感じ」

浜名湖のカキは成長に合わせて育てる場所を手作業で移動させ、丹精を込めて育てられます。他の産地と比べ生産量は多くありませんが、海水と淡水が入り混じる汽水湖で育ったカキは、大粒で濃厚な味わいが自慢です。

八木田組合長
「サイズが日に日に大きくなっているので、この先立派に育って濃厚な味わいのカキを提供できることを期待しています」

毎年多くのファンがその味を楽しみにしている浜名湖のカキ。生産者は無事に生育が進んだカキの今後に大きな期待を込めています。