高齢化が進み、心臓病を患う人が増えるなか、静岡でも手術を支援するロボットが活躍しています。患者の負担を減らすだけでなく医師不足の解消への期待も込められていますが、普及に向けては課題もあります。

<社会部 田島かのん記者>
「操作しているのはこちらの大きな機械です。このロボット手術が多くの人の命を救っています」

手術支援ロボット「ダヴィンチ」。3本のアームが操作する医師の手の動きを、正確に再現します。県立総合病院では、2020年に導入し、5年間で100件を超える心臓手術を行ってきました。

<静岡県立総合病院 心臓血管外科 恒吉裕史医師>
「わずか、4か所の穴を空けることによって心臓の中に到達して、自由に機材を動かすことができる画期的な手術」

心臓血管外科の恒吉医師によりますと、手術を受けた患者の多くが、わずか5日から6日で退院できるといいます。

静岡市に暮らす河合健一さん(76)です。2025年4月、心臓弁膜症の手術を受けました。

<手術を受けた河合健一さん>
「見えますか?4cm切った。だんだん傷跡自体が目立たなくなって、今はほとんど気にならない。心臓だと心配になるが(手術を受けて良かった)、手術受けない限りは治らない病気だから」

高齢化に伴い心臓病の患者は増え続けています。

<静岡県立総合病院 循環器内科 竹内泰代医師>
「この先10年、15年は心不全という心臓の病気がぐんぐん増えると推計されている」

医師不足も深刻で、全国の平均を下回っています。「ダヴィンチ」があることで、その病院には技術を学ぼうという医師が全国から集まります。

医師不足解消の一手としても期待が高まる「ダヴィンチ手術」ですが、手術を担う医師の育成が必要です。

「ダヴィンチ」を扱える医師は全国で数十人。指導には免許が必要で、持っているのは全国で12人、県内では恒吉医師1人です。約3億円の導入費も普及に向けた課題となっています。

<恒吉医師>
「最先端の治療は大都市でしか受けられなかったが、指導医としては外科医の魅力を伝えて、立派に成長してくれたら県民の医療の質がもっと向上する」

増え続ける心臓の病と向き合う。最先端の医療機器が命を守る現場を変えています。