安心して子育てができるまちを目指そうと民間企業主導の「産後ケア」の施設が静岡県富士宮市で初めてオープンしました。
立ち上げたのは助産師や保育士などの現役ママたちです。
2025年10月、富士宮市にオープンした産後ケア施設「てって」。
「手と手を取り合う子育てを」という想いが込められています。
産後ケア施設では、日帰りや宿泊で産後の母親の心身のケアや育児サポートなどを行ないます。
産後ケアの事業は助産院や病院などが行うことが一般的ですが、「てって」を運営するのは地元で不動産業などを営む民間企業です。
代表の佐野安以さんは3人の子どもを育てる中で、産後ケアの必要性を感じたといいます。
<富士宮産後ケア施設「てって」佐野安以 代表>
「支える手、サポートする手、相談先だったり、窓口がすごく少ないなっていうのを感じて、すぐ身近に頼れる人はなかなかいなかったというのは自分の中にあったので、この富士宮のまちを子育てしやすいまちに変えたいと思って」
保育士経験がある佐野さんは2024年10月、助産師などの現役ママ8人とともに産後ケア施設をつくるプロジェクトを立ち上げました。
<あお助産院 助産師 青野有紀子さん>
「全部、これ寄付でいただいているものなんです。ベッドも。電動ベッドもアルミ缶(回収)で買ったやつです。6万円くらいするんですけど、それ全部アルミ缶を回収して、そのアルミ缶の資金でようやくできた」
プロジェクトメンバーたちは施設の整備のために、アルミ缶の回収やクラウドファンディングなどで資金を集め、1年かけてオープンにこぎ着けました。
国の調査によりますと、産後ケア事業は全国1500ほどの自治体で実施されているものの、利用率は産婦の1割程度にとどまっていて、富士宮市の産後ケア施設の利用率も1割ほどです。
<あお助産院 助産師 青野有紀子さん>
「その女性たちがどんなお産をしたか、どんな子育てをしたかによって、次の赤ちゃんが欲しいと思うのか、次また子育てしたいと思うのかにつながってくると思っています」
「てって」では助産師、看護師、保育士、調理師が在籍し、産後ケアのほかに子どもの一時預かりなども行ないます。
<富士宮産後ケア施設「てって」佐野安以 代表>
「産後ケアを受けるのが当たり前の世の中になってほしいなっていうのと、ちょっと困ったりとかしたら『てって』行っておいでって、気軽に言ってもらえるような場所になってほしい」
産後ケアをより多くの母親に。
地域で安心して子育てができる仕組みづくりを目指します。
富士宮市内には助産院や医療機関など6か所で産後ケア事業を行っていますが、民間企業が主導する専門施設は初めてです。
「てって」では、子育てセミナーやランチ会なども開催し、気軽に訪れてもらえる工夫を続けていくということです。