静岡県熱海市で発生した土石流災害から2022年8月3日で1年1か月。地元の人たちが毎月1回は集まっていた「憩いの場」がようやく復旧し、土石流前の日常を取り戻す第一歩を踏み出しました。
熱海市伊豆山の逢初川沿いにある「逢初地蔵堂」です。約840年前、北条政子が病を患う長女の回復を願って作ったと伝えられている「逢初地蔵」が安置されています。100年ほど前から毎月、法要を行うなど地元の人たちにとって心のよりどころになる場所です。
2021年7月の土石流災害。地蔵堂の床は泥に覆われ屋根まで泥が飛び散り、引き戸が壊れガラスが割れました。立ち入り禁止の警戒区域に指定されたことから住民は立ち入ることができなくなり、地蔵も近くの公民館へ避難することになりました。
<復旧作業の様子>
「ガリッ。おーすごいじゃん。全然こっちのほうが効いてるもん」
地蔵堂を再び、住民が集える場所にしたい。森林保全活動をしているNPO法人の「熱海キコリーズ」が、市の許可を得て復旧作業を進めてきました。2021年8月から活動を始めて、ようやく建物の復旧作業が終わりました。
<逢初地蔵の運搬作業>
「あ!きた きた きた!」
近くの公民館に避難していた逢初地蔵も1年ぶりに戻ってきました。
<住民>
「よかったね。お地蔵さん」
「みなさん、お疲れ様でした」
<熱海キコリーズ 能勢友歌代表>
「1年前、すごく大変な思いをされた伊豆山の方々の少しでも力になれればと。恒例のお地蔵さんの日にお経を唱えて憩いの場ができてくるのはすごく嬉しいなと思う」
そして、7月。1年ぶりに地蔵堂にお経の声が響きました。ただ、この場所は今も警戒区域の中です。住民たちはヘルメットを準備し、市の許可を得て立ち入りました。
<住民 中田春子さん>
「何にも代え難く、私たちの願いでしたから。ここに少しでもね(早く戻ることが)。向こうにお地蔵さんも間借りしていたわけだから、ここに移ってこれて、お地蔵さんも喜んでるんじゃないかと思うくらい。私たちも喜んでますけど」
<熱海キコリーズ 能勢友歌代表>
「憩いの場所だし、みんなが集まる場所で絶対必要な場所だと聞いていたので。本当に感動しました」
土石流災害から1年1か月。災害前の日常が、少し戻ってきました。