2012年に県立岡山操山高校の野球部で、マネージャーをしていた男子生徒が監督から叱責されたあとに自殺した問題です。
きょう(15日)開かれた岡山県議会の委員会で、岡山県教育委員会は「生徒や保護者向けに、体罰などを防止するための教育ビデオを作成する」など、遺族の意向を踏まえた再発防止策の方向性を示しました。
この問題は2012年7月、岡山市中区の岡山操山高校で、野球部のマネージャーを務めていた当時2年生の男子生徒が、監督から叱責を受けたあとに自殺したものです。
岡山県教育委員会では第三者委員会の調査を受け、「自殺は監督からの激しい叱責によるものだった」と因果関係を認め、男子生徒の遺族に謝罪しています。
その後、県教委は遺族との面談を重ねた上で再発防止策を検討。きょう、岡山県議会の文教委員会で再発防止策の方向性を示しました。
主な内容としては
・「体罰防止ハンドブック」を不適切な指導やハラスメントの防止にも言及するなど全面的に見直す
・生徒と保護者向けに体罰や不適切指導、ハラスメントについての教育ビデオを作成し、視聴する機会を設ける
・不適切な指導について「より厳しい懲戒処分の指針を策定」する
ことなどが示されました。
(岡山県教育委員会 鍵本芳明教育長)「このような事が2度と起こることがないように、しっかりと学校現場と協力しながら徹底してまいりたい。外部の有識者の評価、提言、そしてご遺族からご意見をいただきながら、今後進めていこうと考えます」
県教委では今回示した方向性について「数カ月以内でとりまとめ、来年度中に各学校で取り組みができるよう」に進めていきたいとしています。
【解説】今回、県教委の再発防止策について遺族や文教委員会の委員から求められたことが「迅速な対応」です。
こちらをご覧ください(【写真を見る】参照)
生徒が自殺してから今回の方向性が示されるまでに10年あまりが経過しています。当初、県教委は「監督の言動と生徒の自殺との因果関係は不明」とのスタンスを示していました。遺族の要望を受けて、生徒が自殺してから約6年後の2018年に第三者委員会が設置され、ようやく因果関係が認められたという経緯があります。
生徒の遺族は、今回の方向性の発表について「今後の県教委の取り組みを注視し、実効性のある再発防止策の早期策定に向けた関与を継続していく必要性を強く感じています」とコメントしています。