「今日を生かさせてください」意識はないと言われた息子に母親は励まし続けたが 

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(早苗さんの日記)
「お母さん、息子さんの涙を拭いてあげてくださいと、消毒された濡れタオルを渡される。健仁に触れるのが嬉しい。でも、男の医師がささやいた『面会フリーだな』の言葉が耳に残り、気にかかる。気にしないでいようと思った」

「とにかく面会じゃなく、ずっとそばにいられるチャンスが与えられたんだから、励まし祈り続けようと思った。今日生きようと健仁と励まし合う」

「大丈夫やよ。大丈夫やよ。絶対に大丈夫やよ。健君、お母さんそばにいるよ。ずっといるよ。良くなるよ。大丈夫やからね。健君、繰り返し励ます、祈る。『健仁の回復』を『今日を生かさせてください』と祈る」

「生命(いのち)ほど尊いものは、この世にないことを知らされる。生命を越すものはないのだと知る」

(児島 早苗さん)
「日記はここで終わります。翌朝、健仁は9時過ぎ、息を引き取りました」