香川県の出版社が10月に発行した単行本が、大手通販のアマゾンで売り切れとなるなど、全国でヒットしています。

題材は「万葉集」。約1300年前の歌集を現代の若者言葉、それも万葉集が編纂された時代の首都・奈良の方言で訳したものです。

著者の佐々木良さんに出版の狙いなど伺いました。

■万葉集が若者言葉に「恋ひ死なば」→「キュンキュンして死にそう♡」


10月に出版された「愛するよりも愛されたい」。奈良の若者言葉で訳した万葉集です。例えば恋人への思いを綴ったこの歌は、こんな具合に訳されます。


「恋ひ死なば 恋ひも死ねとや 玉桙の 道行く人の 言も告らなく」

「キュンキュンして死にそう(ハート)」っていったら「死ね」っていわれるし、世間は冷たいもんや


(万葉社 佐々木良社長)
「4500首あるんですよ。この本に納めたのは90首なので、この50倍あるんですけども。全部いろんな訳をしていって400首くらいは自分で訳してみたので、それでも1割ですから

「面白そうなのをピックアップして、その中の90首編集しなおした。結構、大変でしたよ」

■表現自由な万葉集「結構赤裸々、下品な言い方も」

ー一番難しかったのは?

「難しかったのは言えないけど、結構『赤裸々』なんですよね。今だと放送禁止用語ってあるじゃないですか。この当時、放送禁止なんてないですから、自由にやってるので結構、下品な言い方があったり」


万葉集の大きなテーマの1つが「相聞歌」と言われる恋の歌です。

1300年前の市、つまりマーケットでの男女の姿を、コロナ禍の中で佐々木さんはこう切り取りました。


「西の市に ただひとり出でて 目並べず 買いてし絹の 商じこりかも」

「ならファミリーで美女ナンパ マスクとったらまじバケモン」


(佐々木さん)
「当時って男女格差があったと思われますけれど、恋に格差は無かった」

「少し目上の方への言葉づかいはあるんですけど、五七五で『あなたが好きです』というのを、天皇に対してもこういう歌を歌ったり、天皇が民間人にこういう歌を歌ったりというのは 『恋に格差は無かった』というのは、万葉集の魅力かと思います」