岡山県美作市を舞台に制作された短編映画が、来月ハリウッドで開催される映画祭の上映作品にノミネートされました。短編映画のテーマは「美作番茶」。300年以上の歴史がある伝統的な茶が世界から注目を浴びるきっかけとなるかもしれません。

「ここはその昔、美作の国と呼ばれていた。美しいを作ると書いて美作」

美作市が舞台の短編映画「美作物語誰も知らない美作番茶」です。歴史ある茶農家で育った高校生のアスカと、人生のすべてを番茶づくりに捧げてきた父。それぞれの苦悩や葛藤を描いた作品です。「みまさかフィルム・コミッション」が主体となって制作したもので、来月、ハリウッドで開催される映画祭「Japan Film Festival LosAngeles」で上映されます。

映画に出てくる茶を監修したのは、美作で江戸時代から製茶業を営む小林芳香園の六代目・小林将則さんです。

(小林将則さん)
「岡山県はあまり茶のイメージがない地域ではあるんですが、この地域で茶をしている者としては、この地域を知ってもらうすごくいい機会を与えてもらったなと思います」

300年以上の歴史を持つ美作番茶。真夏の炎天下で天日乾燥させる伝統的な製法は今も変わっておらず、その場面は、映画のワンシーンにも。その美作番茶ですが、10年前までは10軒以上で作られていたものの、今では3軒となっていて、継承の危機を迎えているといいます。

(小林将則さん)
「茶は昔と比べてだいぶ衰退してきてしまっているので、継いでもらいたいけど継がしたくない気持ちもある」

映画祭は今回で20回目で、日米間の文化の交流と理解を深めることも願って開催されるものです。小林さんも出席し美作番茶を振る舞うことが決っていて、作品の上映とあわせてより多くの人に地域や茶の魅力に気づいてもらいたいといいます。

(小林将則さん)
「地方のローカルの、しかも日本人でもあまりピンとこない番茶というのを海外でしっかりと紹介できる機会というのは本当にありがたい限り。(めったに)無いような機会なので、みなさんに紹介して見てもらって少しでも茶に興味を持ってもらえるきっかけづくりになれたらありがたいと思う」

映画祭はハリウッドで現地時間来月14日に開催されます。「美作物語」が上映される短編映画部門には18作品がノミネートされていて、「美作の街」がテーマのもう1作品もノミネートされています。

※2つの映画「美作物語」はYouTubeの美作市の公式チャンネルでも公開中だということです。