日本の伝統工法を取り入れた、「ユニークなモノづくりをする建築集団」が、岡山市北区の御津地区にいます。

その建築物を作るのは、実にユニークな顔ぶれ。彼らの生み出したモノ、そして彼らの思いに迫りました。

■まるで小さな能舞台 美術品も販売する「軽トラBar」とは?!

11月3日にリニューアルオープンした岡山城。その一角に、多くの人の目を引く空間が現れました。


(訪れた客)
「木の造りがすごくあたたかみがあって、すごく素敵な場所ですね。」

昼過ぎからオープンの準備を進めていたのは、オーナーの賀儀山泰志(かぎやま・ひろし)さん。この場所は一体…?


(賀儀山泰志さん)
「一応『ギャラリーバー』と言っていて、備前焼とか美術品を販売しながらバーの営業をする。地元岡山のいいものを外の人に知ってもらいたい。」

「ワインとか日本酒とかありますんで…。」


まるで、小さな能舞台のような姿・形です。


(通りがかった人)
「いいですね。僕最初、駕籠かと思った(笑)」

■「軽トラBar」は屋外営業 エンジンかけて備前へ津山へ東京へ。。。

「コロナ禍でもお酒を楽しんでもらいたい」と、屋外で営業をすることができるバーです。



しかも、何とトラックで全国各地を移動することも可能なのです。


(賀儀山泰志さん)
「ほぼ毎月出しているのは備前市の伊部。津山のほうも月1回くらい行っていますし、2か月に1回東京・千葉のほうに行って、向こうで岡山のいいもの、備前焼とかを見せて販売したり」

■こだわり抜いたその造り 手掛けたのは。。。

日本伝統の建築様式「数寄屋造り」を取り入れた、こだわりの空間です。玉野市の設計事務所のデザインのもと、実現しました。





(賀儀山泰志さん)
「板材に、全部溝が掘られているんです。これは、木が曲がったりしないようにわざわざ1個1個丁寧に加工していただいている。これも宮大工さんならではだと思いますね」


この移動式のバーを作ったのは、寺社仏閣の修繕や古民家の再生などを手がける「杣耕社(そまこうしゃ)」です。宮大工として修業を積んだ、代表の山本さんが、オーナーの賀儀山さんの夢を形にしました。


(杣耕社 山本耕平さん)
「随時動く車の荷台、という環境下に何かを表現する…。図面はあったんですけれど、『伝統工法で構築してください』というのが『難しいな』というのが正直な感想で。トラックの荷台にそういうものを作ると、簡単に壊れてしまいやしないかと…」

そして完成した「軽トラの上のバー」。岡山城には車が入れないため、今回は荷台からおろしました。まるで神輿を担いでいるかのような姿。不思議な見た目に、思わず客も足を止めます。

(訪れた客)
「宮大工さんが作ったという作りも、すごく素晴らしいですし、雰囲気がおっとりとした感じで、いい感じですね。」


今回は、杣耕社が、岡山城のイベントに合わせて、新たに4台の机を作ってくれました。


(賀儀山泰志さん)
「これは名栗(なぐり)加工というんですけれど。」
(客)
「名栗加工。まだら模様というか…。」

(賀儀山泰志さん)
「手斧(ちょうな)という特別な道具がありまして、それで削って」

まさに、こだわり抜かれた日本の伝統技術を駆使した机ですが、作り上げた人は、なんと…。