■ 災害は時と場所と相手を選ばない

災害弱者と言われる人に妊娠中の女性がいます。
熊本県の球磨川(くまがわ)の豪雨災害からまもなく2年。
当時、妊婦だった被災者が自らの経験や教訓について語りました。


2021年12月、八代市坂本町の被災者が暮らす仮設団地。年越し準備の餅つきには、大人に混じって子どもの姿も。

仮設団地の住民
「この子は仮設(団地)で生まれた子。ここで生まれた子だよ」


住民に抱かれているのは 餅をつく男の子の弟です。2020年7月の豪雨の時は まだお腹の中でした。

森 乃菜さん
「豪雨災害の時、妊娠7か月だったので。怖かったですね、ちょっといろいろ」

森 乃菜(もり のな)さん(28)は、坂本町で生まれ育ちました。こちらの更地は自宅があった場所。災害の 3か月前に新築し、夫と夫の母親、そして 1歳の長男の 4人で暮らしていました。


森さん
「(水は車のタイヤの)最初 3分の1ぐらいだったんですよ。(避難の)準備をして15分、20分ぐらいでタイヤが全部水に浸かるぐらい」

明け方、異変に気づいた家族に促され避難した森さん。大雨の中、身重な体で子どもを連れ、近くの高台へ通じる坂道を必死に駆け上がりました。


森さん
「このまま引き返したら、たぶんだめだなと思ったので。上に行くことしか考えていなくて」

家族全員無事でしたが、数時間後に自宅は完全に水没しました。想像を越える雨に備えは十分でなかったといいます。


森さん
「とりあえず水が引くまでの間の、何時間かのおむつとお尻拭き。何時間かは不便しないようにというのだけで準備して出たので。それを考えるだけで精一杯で」