水俣病の原因企業チッソが、メチル水銀を含む有毒な工業排水を流した「百間排水口(ひゃっけんはいすいこう)」について、蒲島知事が7月5日(水)言及しました。

「百間排水口(ひゃっけんはいすいこう)」を巡っては、老朽化を理由に水俣市が撤去工事に着手しようとしましたが、水俣病患者団体などから遺構として修繕や保存すべきとの抗議を受けていました。

水俣市が進める「撤去」に対し、市民の一部が求める「保存」。

平行線をたどる議論の中で蒲島知事が言及しました。

蒲島知事「そこを保存したいという気持ちはありますし、活用したいという気持ちのもとで協議を進めているところです」

「水俣病の歴史と教訓を伝えることは大変重要」とし保存に向けた協議を水俣市と進めたいとしました。

ではなぜこのような混乱が起きたのか

あくまで撤去の予算を決めたのは水俣市議会。

取材すると水俣市が議会に計上する際の予算の項目名がきっかけのひとつだったことが分かりました。

それが「撤去費」を「修繕費」としていたことでした。

これについて市議のひとりは…

水俣市 平岡朱市議「修繕費という細目が約1300万円ありました。この中の158万円が今回の百間排水口の撤去費用だった」

水俣市は3月の議会で排水口の「撤去費」についてポンプ場費の「修繕費」として予算を提出

備考欄には「百間ポンプ場年点検および修繕」と記されていました。そのため、「撤去費」と思わずに予算案に賛成したと言います。

平岡市議「(撤去費用だと聞いた時は)驚きました。寝耳に水でした。気付かなかったとはいえ、撤去費用に賛成をしてしまったので、とても複雑な気持ちですし、悔やんでいます」

これについて水俣市は、今回の件に限らず『撤去費』という項目がないため『修繕費』として計上していると説明しています。