日本のデパート火災史上最悪とも言われる「大洋デパート火災」からきょう(11月29日)で51年です。今年からは、教訓を忘れないため新たな取り組みも始まりました。

1973年の11月29日、午後1時すぎ。熊本市の中心部にあった大洋デパートから火が出て、買い物客や従業員など104人が亡くなりました。

大洋デパート火災 1973年

この火事から51年。きょう(29日)白川のほとりには、雨で濡れた慰霊碑を拭き、犠牲者を悼む人の姿がありました。

当時近くで働いていた松下洋子(まつした ようこ)さんは、昼休みにデパートを利用することもあったと振り返ります。

松下洋子さん

松下洋子さん(71)「自分がこうやって生きていることが不思議な気がするんです。慰霊しなければ忘れ去られてしまうと思うので」

当時2歳だった原田真羊(はらだ みちよう)さんは、両親とデパートを訪れていて父親を亡くしました。

――慰霊碑にかけた言葉は?
原田真羊さん(53)
「亡くなられた方たちの思いは未来につなぐために、防火という形でみなさんに伝えれるような活動をしていくので、後ろから応援してください」

この火事の教訓を将来に引き継ぐため、熊本市は去年、11月29日を「消防避難訓練の日」に制定。制定を要望したのは原田さんでした。

原田さん「一人一人が自分のこととして避難できるような考えを持ってもらえるように」

制定されて初めての避難訓練は、大洋デパートの跡地に立つ商業施設「COCOSA」で行われました。消防や店の関係者 約100人が参加した訓練では、施設の2階から火が出たことを想定し、避難や負傷者の救助の流れを確認しました。

原田さんは今年、自身も防災士の資格をとり、訓練の大切さを訴えます。

原田さん「自分たちで自分の身を守れるようなことができたらいい」