◆分裂から7年たち「山口組」が勢力拡大

捕されたのは末端の組員だけではない。今年11月、粕屋署に警察車両が滑り込んできた。六代目山口組系幹部が乗っていた。「山口組」系一道会の会長や幹部ら4人は、対立する「神戸山口組」系の組長の自宅を燃やそうとした現住建造物等放火未遂の疑いで逮捕された。


山口組→神戸山口組の襲撃が相次いだと思えば、2日後には報復とみられる事件。

RKB村橋佑一郎「住宅街に多くの捜査員が集まっています。レッカー車でトラックを撤去するようです」

襲撃していた側の「山口組」系組長の自宅(福岡市東区)にトラックが突っ込んだのだ。「山口組」の分裂抗争をめぐっては、弱体化した「神戸山口組」の関係先を狙ったとみられる事件が全国で相次いでいる。

年6月には「神戸山口組」のトップ・井上邦雄組長の自宅にも銃弾が撃ち込まれた。また、佐賀市でも「神戸山口組」系の組事務所に「山口組」系の組員が運転する車が突っ込んでいる。分裂から7年がたった今、事件が多発している背景について捜査関係者はこう分析する。

捜査幹部「山口組の勢力が強くなり、神戸山口組を潰そうと攻勢をかけているのだろう」

◆通学路の“厳戒態勢”続く

力団特有の論理に基づいて繰り返される“襲撃”事件。市民は巻き込まれる不安にさいなまれている。「山口組」と「神戸山口組」の関係先がある地域の安全と安心を確保するために福岡県警は、自治体と連携したパトロールの強化に取り組んでいる。

RKB永牟田龍太「神戸山口組系の二代目安部組事務所は住宅街にあります。事務所前に警察が常駐して警戒しています」

警察は、乗用車が突っ込んだ福津市の「神戸山口組」系の組事務所前に警察官を配置。福津市も小中学校の下校時間に青パト2台を使ったパトロールを毎日実施している。


青パトドライバー「子供たちの通学路を中心に回ります。組事務所の近くまで行ったときには注意して見ていますよ」

特定危険指定暴力団「工藤会」の弱体化を実現させた福岡県警。県内での分裂抗争に目を光らせると共に再び勢力を拡大しつつある「山口組」系暴力団の更なる福岡進出の阻止にも力を入れている。

◆「県民が巻き添えにならないよう」

一連の事件を受けて福岡県警は次の様にコメントしている。

「本年に入り福岡県においても抗争に起因するとみられる事件が2件発生していることから、情報の収集、警戒活動を強化するとともに、県民が巻き添えになることがないよう万全を期してまいりたい」