街は50時間以上燃え続けた

岸本満寿恵さん(91)
「警戒警報っていうのが鳴るんですよね、ウーーーーって。お風呂の水に毛布をつけて頭からかぶって外に出たら、・・・もう道の両端の家が、火事、もう火事ですね」

空襲は2時間ほど続き、門司の街は50時間以上にわたって火災が続いたという記録が残っています。

岸本さんは、近くの防空壕に逃げようとするも人がいっぱいで入れず、川に浮かんだ小舟に乗り込み一晩を過ごしました。
家族にけがはなかったものの自宅は全焼。

空襲による被害は死者55人、重傷者92人、全焼した建物は3616棟にのぼりました。

若者「焼け落ちた光景をみてどう思いましたか?」
岸本満寿恵さん(91)「焼けたんやなとか、そんなんも全然よぎらんかったですよ、あーあーあーだけですね」
若者に語った理由は

岸本さんの話を聞くのは、平和に関する活動を行う若者たちのグループ「北九州市ピースフィールドクラブ」のメンバーです。

質問をしながら、地図に付せんで当時の様子を書き込んでいきます。

対談のきっかけは、2015年に市が募集した戦争体験に岸本さんが寄稿したことでした。
これまで家族にも話してこなかった壮絶な体験を若者に語るうちに、岸本さん自身もある変化を感じています。

岸本満寿恵さん(91)
「体の奥に80年間埋まっていたような思いが、皆さんの問いかけで思い出せるんですよね。思い出が導かれて生まれ出てくるという」