守備意識の徹底で一時は4位

3月24日の今治戦で増本体制初勝利を挙げたものの、12試合を終えた時点でわずかに2勝。前年から続く課題の得点力不足に苦しんだ。

そこで監督がチームに説いたのが「シュートを打たせない」守備の意識。サッカーの世界では「いい守備からいい攻撃」というフレーズがよく使われるが、まずは運動量を落とさないハードワークで、とにかく守備力強化に重点を置いた。

すると、13試合目の岐阜戦勝利を皮切りに、2度の3連勝を含む9勝4引分で13戦負けなしと一気に勢いが加速。一時は失点数がリーグ最少タイとなるなど、堅い守備を武器に順位は4位まで浮上し、J2昇格を狙える位置へ。好調を維持していた。

選手にプレッシャーが…

しかし、「J2昇格」が現実味を帯びてきたことで、選手たちは「勝たなければいけない」というプレッシャーと戦うことになる。その後は2度の3連敗など苦しむ中、増本監督は「選手が背負いすぎている」と感じ、「まずは自分のために試合に向き合うように」と選手に声をかけたという。

その後は2勝2引分と持ち直したものの、最終順位は7位。J2昇格プレーオフに進める6位との勝ち点差は僅か「2」だった。

昇格圏外7位の悔しさをバネに

結果だけ見れば、前年最下位だったチームを7位まで押し上げた就任1年目。ただ、「選手は本当に頑張ってくれたし、クラブともサポーターとも一丸となって臨むことができたいいシーズンだったが、順位を押し上げたというより、4位と昇格圏が見えている位置から押し下げてしまったという印象が強い」と監督は語る。

しかしこの悔しさも、「昇格争い」というものを経験して初めて味わうことができるもの。この経験は来季の正念場、勝負強さが問われる場面でも生きてくるはずだ。