離島防衛を想定した日米の共同訓練「アイアン・フィスト」が、2日から徳之島で本格的に始まりました。徳之島では去年11月に初めて日米訓練が実施されたばかりで、なぜ相次いでいるのでしょうか?

伊仙町では2日、陸上自衛隊とアメリカ軍のオスプレイがあわせて5回飛来し、離着陸の訓練をしました。オスプレイは住宅地の上にも…。

日米共同訓練「アイアン・フィスト」は、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊などあわせて1700人が参加し、九州・沖縄で先月16日から行われています。

鹿児島県内では、徳之島で今月2日から5日ごろまで、離島防衛を想定した水陸両用車の上陸や日米のオスプレイの離着陸訓練、喜界島では3日から7日ごろまでパラシュート降下訓練などが予定されています。

県内の離島での日米訓練は過去5年で見ると、奄美大島で4回、種子島で2回、十島村の臥蛇島で1回、徳之島では去年11月に行われたばかりです。

(伊仙町民)
「守ってもらえるということは、危ないことも多いのではと思う」
「安全だからいいのでは。守ってくれるので」

今回の訓練、アイアン・フィストは2006年に始まって以来、アメリカで実施されてきました。今回初めて徳之島などが訓練地となった背景について、専門家は、南西諸島で活動を活発化させる中国の存在があるといいます。

(明海大学・小谷哲男教授/外交・安全保障が専門)「(もともと訓練の)目的は日本側に水陸両用作戦の能力をつけることだった。陸自の能力もかなり充実してきて、実戦を考えれば当然、南西諸島が戦場になり得る。南西諸島で陸自と米海兵隊の協力を深めておきたいということ」

アメリカ政府は、2025年までに沖縄の海兵隊を改編し、南西諸島で機動的に展開する部隊をつくる計画で、今回の訓練はそれにつながる動きだといいます。

(明海大学・小谷哲男教授)「(新部隊は)どこかに拠点を置くのではなく、(有事の際に)使える離島を使う部隊。限られた離島を確保しながら、米軍全体が動けるようにする。そのための訓練をやっている」

住民から期待と不安の声が入り混じる中、離島防衛の強化は着実に進んでいます。