元海上自衛官で、中国の軍事動向に詳しい笹川平和財団 小原凡司・上席研究員です。小原さんは、海洋進出を強める中国が日本沖の海の状況を調べ、「潜水艦を太平洋へ行き来させるルートを開拓しようとしている」と分析します。
(笹川平和財団 小原凡司・上席研究員)
「測量艦はおもに海図などを作成するために使われる船。屋久島周辺が、中国海軍の潜水艦が探知されずに太平洋に出入りするのに適していると判断し、調査している可能性がある」

■対潜水艦能力を持った鹿屋に近いのにわざわざ?
屋久島沖の近くには鹿屋基地があり、潜水艦の探知や対応にあたるP−1哨戒機が配備されています。仮に中国が太平洋に出入りしようと考えるなら、鹿屋から離れたルートを選びそうですが、なぜ屋久島沖なのでしょうか?

十管本部の測量船「いそしお」。船舶の安全な航行などのため、海底地形の調査を担っています。音波を出し、海底で跳ね返ってくる音の速さをもとに地形を割り出しています。

「いそしお」は、音の伝わる速さの変化を確認しながら、海底の地形を調べますが、潜水艦の探知や対応にあたる鹿屋基地のP−1哨戒機や護衛艦も同じように、敵の潜水艦が出す音を探知するなどしてその位置を特定します。音波で地形を割り出す上で、重要なのが水温です。

(第十管区海上保安本部 仲井一博・海洋調査官)「水温が変わることで水中の音の速度が変わる。水中に伝わる音の速さが変わると、実際の海底と異なった記録になる」
さらに海自の潜水艦隊司令を務めた専門家に聞くと、中国軍が屋久島沖にこだわる「もうひとつのキーワード」が浮かび上がってきました。