シリーズで、鹿児島のこの1年の動きをテーマごとに振り返ります。1回目は新型コロナです。

感染者の発表は、元日は今年唯一のゼロでしたが、正月明けから春ごろにかけていわゆる「第6波」の感染拡大が発生。夏の「第7波」のピーク時には1日で5000人に迫るなど、これまでで最大の拡大となりました。
秋にやや落ち着いたものの、先月ごろから再び増加に転じ、第8波が懸念されています。コロナ禍3年目のこの1年を振り返ります。


(20代)「今年こそコロナが収束して、みんなが過ごしやすい社会になればいいなと思う」

「今年こそ」と収束を願って迎えたコロナ禍3年目の2022年。しかし、以前より感染力が強いオミクロン株が1月に県内でも初確認されると「第6波」に突入しました。


(記者)「奄美一の繁華街・屋仁川。時短要請初日のきょう、営業している店も少なく閑散としています」

県は当初、感染者が多かった奄美大島に独自の「緊急事態宣言」を出して飲食店に時短要請をしましたが、感染は県全体に拡大。

(塩田知事)「まん延防止等重点措置を適用することでしっかりと抑え込んでいきたい」

まん延防止等重点措置が1月27日から3月6日まで出され、全市町村の飲食店に時短が要請されました。

(児童)「給食の時はしゃべりすぎてしまうことがあるので、できるだけ(しゃべらないことを)意識している。」

教育の現場でも授業時間短縮や部活動停止など対応に追われました。一方で支援の広がりも。

(NPO法人ルネスかごしま 谷川勝彦理事長)「2月に入ってから急激に依頼が増えている。支え合う社会を作ることを念頭にやっている活動」

感染者や濃厚接触者の自宅待機が急増する中、食料品などの買い出しをして無償で届けるNPOの活動もありました。

(依頼者)「他の人にうつしてしまわないだろうかという不安があったので、本当にありがたかった」


自宅待機の影響はこんな所にも。濃厚接触者となった中学生は自宅からのリモート卒業式でした。

(リモート卒業式に出席した中学生)「実際に参加できなくて残念だったが、先生方の準備でこのような形で参加させていただいてうれしい」

そんな中でも、今年のゴールデンウィークは3年ぶりに行動制限がありませんでした。

(記者)「キャリーケースなど大きな荷物を持った人の姿が多く見られます」

(福岡から帰省)「テレビ電話でしか会えていなかった。下の子は初めて会う家族がいる。ようやく会わせられるのでうれしい」

ゴールデンウィークが終わると、国はマスク着用の方針を変更。2メートル以上の距離があれば、屋外で会話する場合でも着用の必要はないとしました。

(着用派)「感染者数は増えたり減ったりが続いているので、着けてた方が安心」

(非着用派)「距離が取れて人がたくさんいなければ外してもいいかなと思う」


しかし、7月に入るとオミクロン株が変異したBA.5が猛威を振るい、感染者数は再び急増。8月18日には4948人と、1日としては過去最多になりました。

医療機関や保健所の業務がひっ迫する中…。

(岸田総理)「患者届け出の範囲を高齢者などに限定することを可能とする」

国は全ての感染者の届出を義務付ける「全数把握」を見直し、高齢者や重症化リスクが高い人に限定するなど、対応を簡略化しました。

そして10月からは「全国旅行支援」がスタート。

(城山ホテル鹿児島 保直延総支配人)「コロナで観光業界も苦しい時期が続いたが、全国割をきっかけに鹿児島の魅力を十分に堪能していただきたい」

コロナの打撃を受け続けた観光業界にとって、追い風となっています。


(記者)「鹿児島市のこちらの病院では、けさから乳幼児向けのワクチン接種が始まりました」

一方、今年は小児用のワクチンやオミクロン株に対応したワクチンの接種もスタートしましたが、接種率は必ずしも伸びておらず、感染者数も11月ごろから増加傾向にあります。

大きな感染の波もあった一方で、社会活動との両立の模索や対応の緩和も進んだこの1年。第8波も懸念され、収束が完全に見通せない一方、今後、感染症法上の分類を季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げる議論も本格化する見通しで、来年はさらに新たな向き合い方が求められることになりそうです。