鹿児島市の仙巌園前にあるバス停問題についてです。標識の移設を巡って国とバス事業者の双方が「事故防止のため」と主張していて、平行線をたどっています。専門家は「国と事業者の話し合いが重要」と指摘しています。

仙巌園前の国道10号。国が、車道の一部を広げて整備したバス停留スペースは、およそ1年半たった今も使用できないままです。バスは走行車線に停車する運用が続いています。

(まちの人)「異常です。このままではおかしい」

(まちの人)「(整備した停留スペースは)多くの人に使ってもらった方がいいのでは」

九州地方整備局は今月6日、標識を所有する県バス協会に移転措置命令を出しました。これまで3回移設を勧告しましたが、協会に所属する南国交通は同意した一方で、鹿児島交通は「国の渋滞対策が先で、現状のまま移設しない」と主張していました。

移設期限は今月末ですが、県バス協会はMBCの取材に「内容を精査していないので回答できないが、判断はバス事業者に委ねている」としています。

仙巌園前交差点では、市街地へ向かう下り線で、2019年までの4年間で15件の事故が発生。国は去年3月、追突事故対策として、左折専用レーンとバスの停留スペースを整備しました。

一方、鹿児島交通は、「停留スペースを移設すれば車線変更の回数が増え、事故の危険性が高まる」としています。

(まちの人)「(バスが)あちらこちら行かれても、後ろが追突する危険性が高い」

(まちの人)「一番肝心なことは安全性」

双方が「事故防止」を理由に、主張が平行線をたどる現状に専門家は。

(公共交通政策に詳しい名古屋大学・加藤博和教授)「どちらも安全ではない。もう少し最初から考えて設置する必要がある」

公共交通政策に詳しい専門家は、国と事業者が十分に話し合うことが重要だと指摘します。

(公共交通政策に詳しい名古屋大学・加藤博和教授)「(例えば)バスだけの信号を出して、バスを先に行かせて、その後に車が出てくれば交錯しない。ただ、もう少しバス停が後ろでないといけないので難しい。各事業者が安全かどうかは判断すること。事業者と話し合って決めていくしかない」

交通上の安全性を巡って関係者の十分な意思疎通が求められます。