今が旬の秋の味覚「モクズガニ」、鹿児島では「山太郎ガニ」とも呼ばれています。いちき串木野市で先日、数万匹に1匹かもしれない珍しい山太郎ガニが見つかりました。
カゴの中の山太郎ガニ。その中の1匹は足の先から甲羅まで「水色」。他のカニと比べると色の違いは一目瞭然です。
この水色の山太郎ガニが発見されたのは、いちき串木野市生福を流れる大松川です。近くに住む前屋正志さん(75)が今月5日、川に仕掛けたかごを引き上げたところ、6匹のうち1匹だけ、変わった色をしているのに気づきました。
山太郎ガニをとり続けておよそ50年の前屋さんですが、水色のカニを見たのは初めてだと言います。
(前屋正志さん)「(山太郎ガニを)50年とっているが初めて。あげた途端びっくりした」
本来は緑がかった褐色の山太郎ガニが、なぜ水色なのか…。カニを研究しておよそ20年、鹿児島大学水産学部の土井航准教授に聞きました。
(鹿児島大学水産学部 土井航准教授)「(Q.水色のカニだが、山太郎ガニか)間違いない。ハサミに毛があるのはモクズガニ(山太郎ガニ)の特徴。ザリガニとかカニと同じ甲殻類は食べているエサで体色が変わると言われていて、食べていたエサに偏りがあった可能性が高いのでは。珍しい」
山太郎ガニは、川の中の水草や死んだ魚などを食べます。一方、水色のカニは、特定のえさを偏って食べ続けたため、脱皮して成長する過程で変色した可能性が高いことが分かりました。
土井准教授によると、水色への変色は数万匹に1匹の珍しい現象ではないかということです。
「変色」の原因は「偏食」とみられる水色の山太郎ガニ。とった翌日に弱って死んでしまいましたが、前屋さんは珍しいので食べずに冷凍保存しているということです。