イプシロンロケット6号機は12日午前、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、飛行中の機体の姿勢に異常が生じ、打ち上げは失敗しました。日本のロケット打ち上げが失敗したのは、2003年以来、19年ぶりです。
イプシロン6号機は12日午前9時50分に打ち上げ。ロケット本体が空に上がっていく様子を各地で多くの人が見守りました。
(記者)「打ち上げからおよそ10分が経ちましたが、JAXAのアナウンスで破壊信号を出したという発表がありました」
(JAXAアナウンス)「指令破壊信号を送信した。状況が分かり次第ご連絡する」
「飛行中のロケットの姿勢に異常が生じた」として、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、打ち上げから6分28秒後の午前9時57分11秒にイプシロンに指令破壊信号を発信。機体はフィリピンの東の海上に落下したとみられています。
イプシロンは2013年の初号機以来、初めての打ち上げ失敗となりました。また、国内のロケットでも2003年のH2A6号機以来の打ち上げ失敗です。
【一般見学場】
(奈良から)「本当に残念だなという思いだけ。思っていたより変な雲の形をしていたので、言われてみればそうだったのかなと思わなくもない。もちろん素人なのでよく分からないけど」
(福岡から)「打ち上げ自体は素晴らしくて感動したけど、悲しい」
(福岡から)「失敗したと聞いて、でも打ち上げが見られたので私はよかった」
【パブリックビューイング・センテラス天文館】
(福岡から)「打ち上がってすごく喜んでいた。ちょっと残念」
(福岡から)「残念ではある。せっかく皆さんが頑張ってやっているから」
打ち上げ失敗についてJAXAは。
(JAXA・山川宏理事長)「打ち上げに失敗した。期待に応えられず深くお詫び申し上げる」
(JAXA・打ち上げ実施責任者 布野泰広理事)「姿勢の異常があるということで所定の軌道に入れられないと判断し破壊。早期に原因究明をし対策を立てることがまずは急務だと認識している」
今回のイプシロン6号機には宇宙ゴミの除去を目指す実証機器を積んだ衛星など8機が搭載されていました。打ち上げ後しばらくは計画通りに機体を切り離しながら飛行していましたが、2段目と3段目の機体を分離する前に姿勢の異常が確認されたということです。
打ち上げは当初、今月7日に予定されていましたが、「打ち上げ後のロケットの位置・速度が適切に計測できないおそれがある」として延期され、12日の打ち上げは万全の状態で迎えたはずでした。
なぜ、失敗したのか?JAXAは今後、姿勢制御に関係する部品を中心に調べることにしています。
今回、初めての商業衛星も搭載し、世界の衛星打ち上げ市場での役割も期待されていたイプシロン。打ち上げは来年度以降も計画されていることから、1日も早い原因究明が求められます。