ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、まもなく3年を迎えます。停戦に向けて大国・アメリカとロシアが動き出す中、鹿児島で暮らすウクライナ人とロシア人は、複雑な思いを抱えながら新たな局面を見つめています。

住宅の一室を改装した店に並ぶ、ウクライナの雑貨に、雑誌、ボルシチなどの伝統料理。鹿児島市にこの春オープンするウクライナの料理と雑貨の店です。

店を営むのは、ウクライナ東部・ドニプロ出身で、8年前に来日した郡山虹夏さん(28)。日本人の夫と、3歳の息子・祥緒くんの3人暮らしで、侵攻からまもなくして、祖国から母親と妹が鹿児島に避難してきました。

(ウクライナ出身 郡山虹夏さん)「ウクライナの文化を守る場所。故郷が無くなるとか、何が起こるか分からない」
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。国連によりますと、民間人の死者はこれまでに1万2300人を超えています。
この3年こう着状態が続いていましたが、アメリカのトランプ大統領就任で事態が動き出しました。今月18日、アメリカとロシアの高官協議が実現し、戦闘終結へ協議することで合意。
これに対し、侵攻を受けた“当事者”のウクライナは「ウクライナ抜きでの和平交渉は受け入れられない」と反発しています。
(ウクライナ出身 郡山虹夏さん)「やばいんじゃないか、という感じに受け取っている」

虹夏さんは、仮にウクライナの領土がロシアに侵略されたまま停戦となれば、「軍事侵攻の容認」につながると懸念しています。

(ウクライナ出身 郡山虹夏さん)「戦闘は止まっても、今までロシアがしたことは『無し』にするのか。力で勝つ世界になる」
侵攻開始から3年。ウクライナに思いを寄せてもらおうと、店の準備に追われる虹夏さん。帰ることのできない祖国を案じる日々が続きます。

(ウクライナ出身 郡山虹夏さん)「ニュースで『300人死んだ』と出ても、何も感じなくなってしまう。一人ひとりの世界(人生)があると思うことが大事