鹿児島県の霧島市と南九州市で開かれる全国和牛能力共進会まで、あと1週間です。全国から選び抜かれた和牛が勢ぞろいする中、曽於市の曽於高校の生徒らが手塩にかけた1頭も出場します。初めての和牛のオリンピックにかける高校生たちを取材しました。

今回の全国和牛能力共進会で新たに設けられたのが「高校及び農業大学校の部」。その鹿児島県代表に選ばれたのが、曽於高校畜産食農科の4人です。出品するのは1歳3か月の雌牛「しえな」です。

8月に行われた県の最終予選では、牛の姿や栄養状態、取り組み発表などの総合審査で高く評価され、出場した7頭の中から代表に選ばれました。

(矢野輝星さん)「正直あきらめていたけど、優勝できてとてもうれしい。日本一をとりたい」
大会では手綱1本で牛を操る「引き手」が重要な役割を担います。その引き手を務めるのは、3年生の矢野輝星さん。矢野さんが県予選で「あきらめていた」と話したわけは、牛の肩から地上までの長さ「体高」が、県予選では理想とされる高さをわずか数ミリオーバーしていたからです。

全国大会を控え、この日、地元でJA職員らに指導を受けた矢野さんたち。立ち方を変えて数ミリを調整しようとしますが、しえながじっとしてくれません。指導員がアドバイスします。今度はうまくいきました。
Q.コツはつかめましたか?
(矢野輝星さん)「ちょっとはつかめた。まだ、いまいちなところがあるので、学校で改善していきたい」
(JAそお鹿児島職員 羽子田顕久さん)
「(しえなは)体躯の伸びや尻の切れ上がりなどで群を抜いている。今年の初めから取り組んでいるが、まじめで熱心。期待している」
授業が終わると、生徒たちは学校からおよそ1キロ離れた農場に向かいます。農場ではおよそ40頭の牛を飼育していますが、県代表のしえなの日常はほかの牛とは大きく違います。その日常とは?