MBCでは毎年、地域社会の発展に貢献し、今後の活躍が期待される団体や個人にMBC賞を贈っています。
受賞団体の紹介2回目は、霧島市の天孫降臨霧島九面太鼓保存会です。50年前の1972年に誕生し、活発な公演活動で地域の文化や観光振興に貢献しています。

赤や緑の面に、長い髪を振り乱して演奏するのは、霧島市牧園町の天孫降臨霧島九面太鼓です。霧島神宮に伝わる9つの面をモチーフにした面と白の衣装で、天孫降臨の神話の物語を和太鼓の演奏で表現しているのが特徴です。

1972年、旧牧園町の商工会青年部長で今年8月に81歳で亡くなった脇元勝己さんが創設し、今年でちょうど50年を迎えました。脇元さんは亡くなるまで霧島の発展に情熱を燃やしていたといいます。

地域振興と霧島神宮の奉納太鼓としてスタートした保存会。この日はみやまコンセールで行われた「霧島郷土芸能の夕べ」で演奏を披露しました。公演回数は、県外や海外も含めてコロナ禍の前は年間およそ80回を数え、太鼓を通じて観光「霧島」を広くPRしてきました。

(修行兼一郎会長)
「(演奏を見てもらって)逆に霧島に来ていただくと。まさしく振興ですね」

現在、保存会全体のメンバーは10代から70代までの男女合わせて30人あまり。

(修行兼一郎会長)
「メンバー各自、別々の仕事をしています。勤務との兼ね合いで出演調整を当然しないといけないです。それがためには継続して複数の打ち手を養成していかないと、9人の打ち手が必要となりますので」

保存会の中には女性のみで構成したチームの「和奏」や、中学生と高校生のチームの「郷花」もあります。幅広いメンバーが会を支えていて、後継者育成にもつながっています。

(郷花 高校3年生・岩戸琶響さん)
「お面をつけながら叩いていたので、すごいなと思って。叩く迫力とかも強くて印象に残っています。九面太鼓が途切れないように、おもしろい、楽しいというのをみんなに知ってもらえるような存在になってほしいと思っています」

霧島九面太鼓には、この日、新たに国分在住の20代の社会人とメンバーの家族の中学3年生が加わりました。

(入会した平田貴優さん 22歳)
「1年前に知りました。郷土芸能の夕べに行って知って。見る人も演奏する人も魂が震えるというか、素晴らしい伝統だと思うので、受け継いでいけるように頑張っていきたい」

今年2月に国宝に指定された霧島神宮では年に3回、奉納の演奏を続けてきました。9月19日は国宝に指定されて初めての「例祭」。奉納行事の最後に登場したのは霧島九面太鼓です。

(修行兼一郎会長)
「神様がおられますから。厳かになりますし、やっぱり気持ちが引き締まりますよね。国宝指定ということになりますとね」

50年間、多くの人たちに支えられて活動を続けてきた霧島九面太鼓保存会。その力強い響きは、地域の文化や観光振興に大きな役割を果たしています。