注目の人にインタビューする「この人に聞く」です。
鹿児島県医師会の会長に就任することが決まった、枕崎市の外科医・牧角寛郎さん。人手不足や医療格差など地域医療の課題を解決したいと意気込みます。

枕崎市の外科医・牧角寛郎さん(69)。県内4000人の医師でつくる県医師会の会長に今月15日、就任します。鹿児島市以外の医師が会長を務めるのは48年ぶりです。

(県医師会会長に就任する 牧角寛郎さん)「医師不足、医療従事者不足。地方出身なので、地方の悩み苦しみは十二分に分かっているつもり。(課題解決の)一助になりたいと思って、会長選に立候補した」

牧角さんは1980年、神奈川の聖マリアンナ医科大学を卒業。鹿児島大学病院での勤務を経て、1992年、父親が開業した枕崎市のサザン・リージョン病院を継ぎました。

(牧角寛郎さん)「(視察した)長野の緩和ケア病棟は雪見障子があった。うちもぜひつくりたいなと思った」

外科医として多くの死に接してきた経験から、終末期の患者を受け入れ、体の痛みや心の苦痛を和らげる緩和ケア病棟を運営しています。

(県医師会会長に就任する 牧角寛郎さん)「枕崎に帰ると、最終的に看取りの場所がなかった。そういう場所をつくりたい。医療を受けるために鹿児島市内の病院に入院する人もいるが『最期は枕崎で亡くなりたい』という人は多い」

2010年から14年間、県医師会の会長を務めてきた池田琢哉さんの後を継ぐ牧角さん。副会長として新型コロナへの対応にもあたってきました。

Q.コロナを乗り越えてどう感じている
(県医師会会長に就任する 牧角寛郎さん)「今回の経験で、それぞれの医療機関の感染症対策への心構えや技術が上がっている。ただ、技術には凹凸がある。平均値を上げるような努力を今後も継続したい」

コロナ禍では医療従事者の人手不足も浮き彫りになりました。

鹿児島県は人口10万人に対する医師の数は全国平均を上回っているものの、鹿児島市や日置市などの「鹿児島医療圏」で434.9人に対し、曽於市や大崎町など「曽於医療圏」は117.6人と、3.7倍の開きがあります。

県内では鹿児島大学の医学部生を対象に、修学資金などの援助を受けた医師が離島やへき地に9年間勤務すると、資金の返還が免除される「地域枠」の制度が導入されています。

牧角さんは制度を活用した人材の確保にも力を入れたい考えです。

(県医師会会長に就任する 牧角寛郎さん)「医師偏在を解決するためには、地域枠の制度が非常に有効。どんどん推進して鹿児島の地域医療、その仲立ちをしていくのが県の医師会。循環がうまくいけばいい」

人材不足、医療格差などさまざまな課題を抱える中、「顔が見える医療」にこだわり続けたいと話します。

Q.長く付き合っている患者は?
(牧角寛郎さん)「3世代にわたっている。代々かかってくれる人たちもいる。地方ならではのつながり、ご縁」

(患者 70代)「25、6年の付き合い」
(患者 60代)「安心感がある」

(県医師会会長に就任する 牧角寛郎さん)「住民の安心・安全を守るという至上命令がある。住民が安寧に暮らせるようなシステムをつくっていかないといけない」