27日に投開票が行わる衆院選と参院補選の候補者の戦いぶりを伝えるシリーズ「衆参ダブル選・候補者を追う」。
3回目は本州一広い衆院岩手2区で繰り広げられる与野党対決です。
岩手県北部と沿岸部の23市町村を選挙区とする衆院岩手2区。
選挙区の面積は県土の6割以上を占め、本州にある衆院の小選挙区の中で最も広い選挙区となっています。
今回11回目の当選を目指す自民党の鈴木俊一氏は、岸田政権では財務大臣を務め現在は党の総務会長を務めています。
選挙初日となった15日、鈴木氏がいたのは沿岸部でした。
宮古市の重茂地区では、漁業者に大臣を務めてきたこれまでの実績をアピールしました。

(鈴木俊一氏)
「水産予算、おおむね3100~3200億円の予算措置をいたしました。これは過去最高の水産予算の額であります。
何としても今の苦しい足元の状況を、これを乗り越える、そのために全力を尽くさせていただいたつもりでございます」
自民党が裏金問題に揺れる中、鈴木氏にとっても今回は逆風を感じながらの選挙です。
内閣総理大臣を務めた父、善幸さんの出身地の山田町では、「和の政治」を理念に掲げた父から受け継いだ政治力をアピールしながら信頼回復を図りました。
(鈴木俊一氏)
「私はその政治力を良い意味でそれを行使して、これからも岩手県のために、そして山田のために使って、県民の皆様方の様々なレベルを向上させていただく、そのためにお役に立っていきたい、そのように切に思っております」
党の要職を務めているため別の選挙区の自民党の候補の応援で、自らの選挙区を留守にすることも多い鈴木氏。
この日、鈴木氏の姿は岩手3区の奥州市にありました。
そんな選挙戦を支えるのが妻・敦子さんと、長男で秘書でもある俊太郎さんの2人です。選挙戦後半も家族の力を結集しての戦いが続いています。
与党の大物ベテラン政治家に挑むのが、立憲民主党の新人、中村起子氏です。
過去に参院選の全国比例の候補として出馬した経験がありますが、衆院選への挑戦は今回が初めてです。
2020年から党県連の副代表を務め、2023年6月には岩手2区の総支部長に就任した中村氏は、日頃から選挙区を巡り地域が抱える課題と向き合ってきました。
選挙選初日、中村氏は祖父の出身地としての縁のある八幡平市で自身の政策を訴えました。
選挙戦中盤の20日、選挙区内の全ての市町村での活動を終えると、ふたたび八幡平市から遊説の2周目をスタートさせました。

(中村起子氏)
「岩手のことは岩手に住む人間にやらせていただきたい。私は強く願っています。
必ず未来は明るい、でも同じ人がやったって、同じやり方やったって、明るい未来は来ません。同じ未来しか来ません」
特に力を込めて訴えるのは政治の刷新です。
この日の夜には大票田でもあり無党派層も多い滝沢市内の4か所で個人演説会を開催しました。
(中村起子氏)
「ここで過去を断ち切って、新しい2区を始めさせていただきたい。新人が出る土壌を私は作りたいです。世襲以外の。私が今回の柱にしているのはまさに希望なんです。浜が良ければ陸(おか)も良し、陸が良ければ浜も良しと言いますけれども、みなさまとともに明るい未来を、希望をひらいていきたいと思います」
対立候補が逆風の選挙となる中、中村氏が攻勢を強めています。
本州一広い選挙区で繰り広げられる与野党対決の行方はいかに。

選挙戦もいよいよ終盤です。
シリーズ「衆参ダブル選・候補者を追う」25日の最終回は、前回選挙と同じ構図で前職同士による一騎打ちの岩手3区の戦いです。