北海道の知床半島で26人が乗った観光船が消息を絶ってから4日目…観光船の会社社長は、電話での取材に対し「記者会見はやりますよ」と話しました。また、3歳の女の子の身元を確認した祖父母は、静かに名前を呼びかけながら、涙を流していたということです。
遭難した観光船「KAZU I(カズワン)」を所有、運航していた「知床遊覧船」の社長は、当日、出航を決めた判断や船体に傷があったという疑いなどについて「私は行けると思った」「それは直した」などと、家族への説明会で断片的に話しただけです。
社長は25日、電話での取材に応じ、下記のように話して電話を切りました。
・記者「記者会見はやるんですか?」
・社長「記者会見はやりますよ」
・記者「いつ、やりますか?」
・社長「今、ご家族に確認とってるところです」
・社長「嫌だと、やって欲しくない方も多少いらっしゃるので、説得してるところです」
・社長「すいません、もうちょっと時間ください」
一方、遺体の身元確認に立ち会った斜里町の副町長が取材に応じ、身元が判明した7人のうち、福島県と香川県の2人の遺体が搬出されたと話しました。
死亡確認の11人の死因は水死だったことがわかっていますが、遺体の状態について副町長は「そんなに傷んでいない。私が見ても、ほとんど判読できる」と話しています。
また、両親も一緒に遭難し、死亡が確認された東京都の加藤七菜子ちゃん3歳の身元確認に立ち会った祖父母は、棺に眠る七菜子ちゃんを目にして、静かに名前を呼びかけながら涙を流していたということです。七菜子ちゃんの両親は、まだ行方不明のままです。
第一管区海上保安本部によりますと、26日の捜索は、知床半島周辺の全域をはじめ、半島の東側については、北方領土の国後島との中間ラインまで行われます。
捜索にあたるのは、海上保安庁の巡視船9隻、航空機5機。自衛隊の艦艇1隻、航空機2機。北海道と警察のヘリコプターなどで、潜水士2人も含め、地元の漁船8隻と観光船3隻も出港しました。
海上保安庁は、行方不明者が北方領土の周辺に流される可能性があるとみて、国際条約に基づき、ロシア側に捜索範囲が及ぶことを通知しました。
午前7時時点の現場海域は、天候晴、風速9メートル、波浪0.5メートル、うねりが1メートルです。
漁船などの出港を見守ったウトロ漁協の深山組合長は「明日(27日)の悪天候を考えると、今日(26日)がカギ」と話しています。
また、捜索にあたる漁師は「凪だからウエットスーツに着替えて、岩場の間とかも見る。半島の灯台から、国後島が見えるところまで行く」と話しました。
さらに遭難の日を振り返り、「(3メートルの波なら)作業もできないし、普通は行かない。(自分たちも)朝行ってダメだと判断して戻った。向かう時は、追い波だから大丈夫だが、帰りは波に向かってバンバンなってダメ」と、改めて無謀な出航だったという認識を示しました。



