北海道のほぼ中央に位置する活火山、十勝岳(標高2077m)の噴火を想定し、登山者の避難行動を調べる実験「十勝岳チャレンジ」の結果報告会が19日、上富良野町で開かれました。
防災科学技術研究所などが実施した「十勝チャレンジ」は、7月、事前に協力を依頼した登山者45人にGPSロガー(記録装置)を携帯してもらい、美瑛町の望岳台登山口と上富良野町の十勝岳温泉登山口から十勝岳に登る途中で、噴火したという仮想の連絡を受けて、どのような行動をとったかを調べました。

参加者のログデータやアンケート結果から、岩陰に隠れたり、頭を守ってしゃがんだりする行動が取られたものの、登山道全般に身を守る場所や隠れる場所がないこと、通信環境の悪い場所があること、天候が悪い場合に状況把握が難しいことなどが確認されました。
こうした噴火を想定した登山者の行動を調べる実験は、2014年長野・岐阜の県境の御嶽山で起きた噴火をきっかけに、御嶽山や富士山でもすでに実施されていて、十勝岳で実施されるのは初めてです。
今回の実験結果を受けて、富士山チャレンジプラットフォームの田中義朗代表理事は、登山標識に噴火口の方向を示すことや登山道の区間ごとの対処方法を検討し、整理することなどを提案しました。
十勝岳噴火による火山泥流により144人が亡くなった「大正泥流」(1926年・大正15年)から100年という節目を2026年に迎える中で、十勝岳ジオパークの長野克哉事務局長は「活火山である十勝岳の安心安全に楽しんでもらえる環境づくりを進めてきたい」と話しています。







