2022年4月、北海道知床半島沖で乗客乗員26人が死亡・行方不明となった観光船沈没事故。業務上過失致死罪に問われた運航会社社長の初公判を受けて、裁判に参加した被害者の家族が「被告はまったく反省していない」と胸の内を明かしました。
この事故は2022年4月23日に発生し、知床遊覧船が運航する「KAZUⅠ(カズワン)」が知床半島西側の「カシュニの滝」付近で沈没し、乗客乗員26人が死亡・行方不明になっているものです。
起訴状によりますと、桂田被告は、強風注意報や波浪注意報が出され、自社の運航基準を超える風や波が予想されるなか、安全統括管理者兼運航管理者として、船長に航行の中止を指示して危険の発生を未然に防止する注意義務があるのに怠り、漫然と航行させた過失で乗客24人と乗員2人を溺水による窒息死亡させたなどとしています。
裁判の最大の争点は、船に乗っていなかった桂田被告が「事故を予測できたかどうか」ですが、12日の初公判で、桂田被告は「罪が成立するかわからない」と認否を留保するも、弁護側は「事故を予見することはできなかった」として無罪を主張しました。
これを受けて、裁判に参加した被害者家族が取材に応じました。
息子が行方不明の男性
「あっという間にこの時が来ましたが、初公判までが長かった。運航管理者は船長と桂田(被告)だけ。、たった2人だけなのにきちんと打ち合わせしてなかった。安心して乗り物なんか乗れないから、これはちゃんとした法の裁きの決定をしてほしい」
福岡県に住む男性は、いまだ行方不明となっている息子のスーツやワイシャツ、ダウンなどの衣服を身に着けて、裁判に参加しました。
息子が行方不明の男性
「船に乗り込む直前の息子の写真をポケットに入れています。息子と一緒にしっかりと聞いて、いまから闘っていこうなという気持ちを持ちました」
息子と元妻が行方不明の男性
「時間がかかったなというのが正直。これだけの大きな事故なので、体育館一面分ぐらいの膨大な資料もあるなかで、すごく準備に時間がかかったのだと思います」
「桂田は無罪を主張しているが、それを聞いたとき、桂田はまったく反省していないんだなと思いました。まったく反省してないから、そういう無罪という主張ができるんだと」
「すべての責任を船長に押し付けて、自分はなにも悪くないと。そういう主張がどうやったら考えられるのか信じられない」
「すごく聞いていて怒りがこみ上げてきて、とても憤りを感じました。本当にふざけるなと何度も叫びたくなりました。自分の感情をコントロールするのがとても難しいというか、自分を保つのがつらい、きつい状況でした」







