この事故は2022年4月23日に発生し、知床遊覧船が運航する「KAZUⅠ(カズワン)」が知床半島西側の「カシュニの滝」付近で沈没しました。
起訴状によりますと、桂田被告は、強風注意報や波浪注意報が出され、自社の運航基準を超える風や波が予想されるなか、安全統括管理者兼運航管理者として、船長に航行の中止を指示して危険の発生を未然に防止する注意義務があるのに怠り、漫然と航行させた過失で乗客24人と乗員2人を溺水による窒息死亡させたなどとしています。
桂田被告は12日の初公判で「まず初めに事故で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともにご家族の皆さまに深くお詫びする」「当日の朝、船長と出航を協議した。朝は天気がとてもよく、海も穏やかだったが、午後から荒れる予報だった。船長から荒れる前に引き返すと聞き、それなら大丈夫と思って出航を認めた。しかし事故が起きた」と述べました。
裁判の最大の争点は、船に乗っていなかった桂田被告が「事故を予測できたかどうか」ですが、桂田被告は「罪が成立するかわからない」と認否を留保するも、弁護側は「事故を予見することはできなかった」として無罪を主張しました。
海難事故で直接、船を操縦していない運航会社社長の刑事責任を問うのは、極めて異例です。
なお、事故をめぐっては2024年7月、乗客の家族らが、知床遊覧船と桂田被告に対し、約15億円の損害賠償を求め、札幌地裁に提訴しています。







