過去最悪のペースで増えている北海道内の特殊詐欺。被害を食い止めようと大学生たちが立ち上がりました。

2025年6月。北海道江別市の北翔大学の研究室に、映像制作や演劇を学ぶ1年生から4年生の有志が集まりました。
止まらない詐欺被害を防ぐために啓発の動画を作ってほしいと、江別警察署から依頼を受けたのです。
大学生
「うちのおばあちゃんは(詐欺かどうかを)調べるといっても調べ方がわからない」
リアルな犯行の手口を伝えるために警察官も監修に加わります。
江別警察署 生活安全課 関口大知課長
「朝昼晩、誰にも(電話が来たと)言っていないということを確認しますから、『確認の合図を送ってください』とか」

道警によりますと、2025年9月末までに発生した特殊詐欺の被害額は、約17億1800万円にのぼり、過去最悪のペースで増えています。

学生たちにとっても人ごとではありません。
大学3年生・田島遼真さん
「祖母に(詐欺の)電話がきたらしくて、貢献できたら、聞いた話を作品にできたら良いなと思った」

動画は脚本から撮影、編集まで学生たちが手づくり。
約5か月に及ぶ制作を経て、今月14日、警察官にお披露目しました。

「もしもし。電波管理審議会の者なんですが、あなたの個人情報が漏えいしています」
動画は学生たちが詐欺グループに扮し、料理番組風に手口を説明する内容です。
今までにない、
「ここでワンポイント!自然な流れで口座に振り込ませよう!」「警察がお金を要求することなんて、ないんですけどね」
周りの人に相談しないよう口止めされるなど特殊詐欺の特徴を伝え、怪しい電話がきたら警察に相談するよう呼びかけます。
江別警察署 米原良己署長
「今回はあえて犯人目線で作ってもらい、なかなか我々には発想できない、浮かんでこない内容だった。この動画を有効に活用させていただき、一件でも被害を防げれば」

動画づくりを中心になって進めた3年生の田島遼真さんは、大人数で1つの作品を作ることの難しさと魅力を同時に感じたと話します。
大学3年生・田島遼真さん
「表現の適材適所とかもありますし、こういう表現の方が多分向いているよねとか、お互い少しずつ譲り合いながら物を作るということはかなりあった」
「小道具を作るときに、メンバーの1人が全部手作りで段ボールを切り貼りして、リアリティを追及して作っていた。人それぞれのいいところが出た作品だったのではないか」
大学3年生・田島遼真さん
「すごく達成感で満ちあふれている。騙されないという自信がある人にぜひ見てほしい」

動画は、道警の公式ユーチューブチャンネルのほか、江別警察署のロビーで公開しています。

動画は、北海道警察の公式YouTubeチャンネルのほか、江別警察署のロビーで公開しています。







