光り輝く金。わずか1グラムですが、価格は2万2000円を超えています。この高騰はどこまで続くのでしょうか。

岡田純 記者
「来年の干支、ウマがあしらわれた豪華なコイン。これにも使われている”金”に、いま注目が集まっているんです!」

9月末に、1グラムあたり2万円の大台を初めて突破した『金』の小売価格。10月に入っても上昇が止まりません!

ニッセイ基礎研究所 上野剛志 主席エコノミスト
「そこまでの上昇というのは私自身も予想していなかったというのが率直なところ…」

専門家の予想も超える高騰ぶりに、札幌市にある金の買取店では…

ザ・ゴールド札幌狸小路3丁目店 大西尚美 店長
「ニュースを見て『金は今いくらくらいなんですか?』と(店に)来る人は増えていますね」

査定に来た男性(40代)
「(合計で)10万~20万とかいくかなくらいに思っていたので、40万円も超えたんでビックリ!」

北海道内でも取引が活発化している「金」を、もうひとホリします!

こちらは、ここ10年間の金の小売価格です。

5年ほど前から上昇が目立ち始め、2023年8月には、初めて1グラムあたり1万円を突破。その後も加速度的に上昇していき、今週は2万2千円を超えました。15日は2万2452円となっています。

泰星コイン 馬場晋作 顧問
「こちらが来年の干支である、午年のコインでございます」

例年、この時期に全国で予約販売される干支シリーズの記念コイン。

今年は過去最多となる10種類を揃えました。

最も高いコインは世界で限定50枚。1枚なんと660万円です。

泰星コイン 馬場晋作 顧問
「最近、金相場も上昇しているので、金貨に対しての関心度合いが高いのも、ここ最近の傾向。(商品によって)限定数を超えてキャンセル待ちになるケースも多々ある」

札幌市にある金の買取店も、客足が好調といいます。

ザ・ゴールド札幌狸小路3丁目店 大西尚美店長
「(おととしの1g)1万円を超えた時点から来店は徐々にずっと増えているはいるけど、ニュースを見て、『金はいまいくらくらいなんですか?』と(店に)来る人は増えてますね。(去年と比べ)1.5倍くらい」

この日、手持ちの金の査定に訪れていたのは、40代の男性。指輪やブレスレットのほか、『企業の100周年記念カード』やプラチナのアクセサリーも含め、合わせて15点を持ち込みました。

ザ・ゴールド札幌狸小路3丁目店 大西尚美 店長
「品物はご家族の?」


査定に来た男性(40代)
「母の遺品で、(金が)高くなってきていると聞いたので持ってきた」


ザ・ゴールド札幌狸小路3丁目店 大西尚美 店長
「これ珍しい。”耳かき”ですね。これも18金」

査定の結果は…

ザ・ゴールド札幌狸小路3丁目店 大西尚美 店長
「合計で56万465円になります」


40代男性
「10万~20万とかいくかなくらいで思っていたので、50万円も超えたのでビックリ。ちょっとお金が要るようなことがあったので、それの足しになればなと思って。ニュースでも金が高くなった(と聞いて)だから今売るのがいいのかなと」

想像以上の高額だったため、男性は「現金」の受け取りをやめて、急きょ「振り込み」に変更しました。

では、なぜ、金の高騰は続いているのか?

専門家は、世界各国を翻弄する”この人”の影響が大きいと、指摘します。

ニッセイ基礎研究所 上野剛志 主席エコノミスト
「トランプ政権が発足して当初多くの人が予想しないぐらい高い関税を世界中に対してかけた。これから影響がどこまで出るんだろうと不安感が市場の中でくすぶっている。安全資産である金を買おうという動きが強まっている、というのが金高の背景です。」

みなさんの家にも金が眠っているかもしれません。そこで今回取材した金の買取店に、買い取り時のポイントを聞いてみました。

意外な?金製品の買い取りポイント
<買い取ってもらえる物>
●金の耳かき、金歯、金縁眼鏡
●見分け方としては、磁石につかなければメッキではなく金製品の可能性。
●イヤリングは片方だけ、壊れていてもOK。なるべくなら「K24」など、金の純度などを示す「刻印」があるとベスト。

金の高騰の理由について、ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストに聞きました。

背景の一つが「円安」です。金の価格は、海外市場の取引価格を円に換算します。

例えば、1ドル100円の時と比べると、いまは150円ほどなので、海外での価格が同じでも日本での国内価格は1.5倍ということになります。

直近では、自民党の総裁に高市氏が就任してから円安が進んだことも、価格の上昇につながっています。

さらに、ウクライナ侵攻などの国際情勢です。

金は安全資産とされていて、国際情勢や世界経済が不安定な時に上昇する傾向があります。

何より、トランプ大統領が何をするか読めない。少なくともトランプ大統領の在任中、今後3年ほどは金の価格も上がるのではないかとみています。

金は、世界情勢を映し出す「鏡」とも言われます。金の価格が上昇するということは、先が見通せない世界情勢の裏返しなのかもしれません。