◇《当初の2030年度末開業を見据えたマチづくりにも影響》
麻原衣桜記者(3月13日・JR札幌駅周辺)
「札幌中心部では、空から見ると、新幹線だけでなく、ビルなどの建設工事が行われていることがわかります」
札幌の中心部では、2030年度末だった新幹線の開業を見据えて建設ラッシュを迎えています。しかし、最低8年遅れの2038年度末の開業見通しに、マチづくりにもさまざまな影響を与えそうです。

帝国データバンク札幌支店 松田尚也さん
「さまざま経済効果が8年後に延びる。要は『機会損失』が発生するとみている」
「札幌に延伸することによって、沿線自治体の各駅の入込み数、観光客が増える見通しで、得られるはずだったものが得られなくなる。(沿線自治体は)計画の見直しなどを迫られるのではないかという印象は受けた」
新幹線の建設費は、3分の2を国が負担しますが、残りの3分の1は地元の負担です。工事の遅れでコストが増えれば、新たな財政負担を生む可能性もあります。
堀啓知キャスター)
時間の正確さが自慢の新幹線をめぐり、13日、国が明らかにしたのは、札幌延伸の大幅な遅れでした。
森田絹子キャスター)
背景には、何があるのでしょうか。13日の有識者会議を取材した中原記者が東京にいます。
◇《13日の報告書案には新たな開業年は明示されず》
中原達也記者@国土交通省から中継)

有識者会議は13日午後2時から約2時間にわたって、開かれました。そして、今後、工程の短縮策をとった場合でも、札幌延伸の完成・開業の時期は、これまでよりも8年遅い“おおむね2038年度末ごろ”の見込みであるという“報告書案”が議論されました。
今後は有識者会議の座長が“報告書案”の修正を行うとして、新たな札幌延伸の開業年は明示されませんでした。遅れの一番の原因は、工事区間の8割を占めるトンネル工事です。『渡島トンネル』や『羊蹄トンネル』で、地質不良や巨大な岩盤が見つかったことで、工事は何度も中断しました。
しかも、今後も同じようなことが起きる可能性が高いとされ、その場合、開業は数年単位で遅れることになります。

また、作業員の“労働時間規制”や“人手不足”も工事の遅れに拍車をかけました。13日の報告書案では『現時点の開業見通しには、相当程度の不確実性が残る』とも指摘されていて、今後、掘削の難航しているトンネルが貫通する目途が立った時点で、改めて開業時期を定める方針です。東京の国土交通省からお伝えしました。