ニワトリを飼うようになった理由


近藤さんは以前、名古屋市内で飲食店を経営していましたが今は仕事ができず、ギリギリの生活。その理由は体調でした。

翌日、近藤さんが向かったのは病院。2017年にステージ4の大腸がんが見つかり、当初は余命3年と言われていました。手術で大腸と直腸のほとんどを失い、さらに2020年には腎臓にもがんが見つかって、現在も月に1回、がんの治療と定期検査を受けているのです。


病院からの帰り道、ニワトリのきなこを飼った理由を聞きました。

(近藤さん)
「僕より長生きするような生き物を飼っていたら、自分が死んだ後の面倒を見てくれる人がいない。だから自分が5年生きられるとしたら、5年くらいの寿命のものを飼ったらちょうどいいかなと。今では支えに近いですからね」

きなこがいるからこそ、頑張って生きなければいけないと考えていました。

きなこのために頑張って踏ん張りたい


近藤さんは仕事を辞めて以降、引きこもりのような状態で人と関わることがあまりありませんでした。きなこを飼ったことで物珍しさから声をかけてくれる人が現れ、病気の不安が紛れて、いつしか大切な心の支えとなっていたと涙ぐみます。今ではきなこの成長が生きる糧です。

(近藤さん)
「いま、(僕が)死んでしまうと、うちの子がどうなるのかという話なので。うちの子が生きている間は、何とか自分も踏ん張ろうかと」

“きなこがいるからこそ人と関われる”と話す近藤さんにとって、きなこが特別な存在であることがひしひしと伝わってきます。都会の真ん中にいたニワトリとおじさんは、深い絆で結ばれていました。
CBCテレビ「チャント!」6月9日の放送より。